ベルリンフィル・ハーモニー管弦楽団がキリル・ペトレンコとやってきた

ベルリンフィル・ハーモニー管弦楽団Aプログラムに行ってきた。
指揮は首席指揮者兼芸術監督キリル・ペトレンコ。

曲目は
モーツァルト:交響曲第29番
ベルク:オーケストラのための3つの小品
ブラームス:交響曲第4番

モーツァルト:交響曲第29番

キュートで胸キュンだ。

編成は小編成。
この曲はもともとかわいらしい曲だ。
それがまたペトレンコを通すとキラキラと輝いてくる。

テンポは速い。
最初のヴァイオリンは軽やかでまずウキウキ。
強弱のメリハリをしっかりつけてしかも流れるように瑞々しく豊かな表情を見せてくれる。

ペトレンコの行き届いた浮き立つような指揮で各パートそれぞれが弾んでいて、情景としては、大勢の七五三のはしゃぐ子どもたちに面倒見のよいペトレンコが丁寧に着付けをしてアクセサリーを飾ってあげているような幸せ空間が見えてきた。

コントラバスは父親のようにやさしく包んでいる。

ベルク:オーケストラのための3つの小品

ここからは、人数がほぼ倍の大編成。
リズムもなければメロディーもない難解な曲だ。
演奏前の音鳴らしを各自好き勝手にやっているような不協和音が続くのだ。もちろんそれぞれの音はクオリティーMAX。それがあるタイミングで一斉に合い、巨大ストームのような轟音が襲ってくる。音の波動に飲み込まれるといった感じだ。

曲が好き云々ではなく、最高技術での生演奏ならではの音圧体験だった。

ブラームス:交響曲第4番

ああ、ベルリンフィルの人たちが本当に目の前にいて演奏しているのだ、と気持ちが持って行かれた。

第1楽章、この曲は出始めが指揮者や楽団によって特徴が出る。
ペトレンコは?

重い。

意外とずっしりと押してきた。
ヴァイオリン、ビオラの重層感が心臓に響いてくる。
それをチェロ、コントラバスが立体的にもちあげてくる。なんと心地よい共鳴。

2楽章、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを静かに聴きたい。

静かなヴァイオリンは、森の木立で重なった枝葉が風でざわざわっとするような感じ。脳がしびれる。

3楽章、ここは元気な入りを楽しむぞ。
速い!! 
速く力強い。

元気を超越してゴジラ対キングギドラ張りの迫力。

4楽章、ティンパニーで暗くでて、木管のオンパレードに続く。ペトレンコは各パートに一つ一つ合図をし、その通りに鳴る。
リレーションが完璧だ。

最後の盛り上がりは重戦車。
すごかった。

帰宅後も、頭の中で小さなペトレンコが踊りブラームスが鳴り響いている。これは脳内ケースに入れて当分保存しておきたい。


モーツァルト:交響曲第29番 出だし

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オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1963年12月19日録音
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モーツァルト:ブラームス:交響曲第4番3楽章 出だし

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ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1966年4月8日&9日録音
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(2023年11月24日 サントリーホール)

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