ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団 シューベルト交響曲 に行ってきた。
曲目は
シューベルト:交響曲 第7番「未完成」
シューベルト:交響曲 第8番 「ザ・グレート」
王道2曲。ありがたいプログラムだ。
ブロムシュテットが楽団員の方々と一緒にコンマスさんのエスコートされながら登場されると、チケット完売の会場から怒涛の拍手喝采、すでに「ブラボー」の声が聞こえかねないほどボルテージが満タンだ。
シューベルト 交響曲第7番『未完成』
1楽章
スッと始まる。
小さく小さく細かいところがとてもふんわりとした立体感で空間を包んでくる。
6本のコントラバスが繊細にコントロールされ、チェロが美しい。
とろみのある夢の国サウンドだ。
始まる前はブロムシュテットさんはそこにいらっしゃるだけでもうよくて、演奏は楽団員の方々がうまいことやられるのだろう、と想像していたが、その見通しはまったくはずれた。
椅子に腰かけながら背筋を伸ばし、左右の肘をシャキっと構えて手のひらを丁寧に動かされている。
ブロムシュテットの意図が全員に行きわたっていて一体化していることが伝わった。
1楽章が終わると、会場の咳がすごい。全員息をのんでというか集中がすごいのだ。
2楽章
クラリネット、オーボエが全体ソフティーななか芯となって締めていて集中した。
フォルテになるところは、金管、ティンパニーがバラバラのように聴こえ、これでいいのかな?という感じがした。
ティンパニーはキレはよいのだが、音自体が硬質でカンカン耳につき、もう少しソフトな感じはどうなのかなと思った。
シューベルト 交響曲第7番『グレイト』
1楽章
7番の後味のよさそのままに期待をもってのぞんだが、ぬぬ?
最初の最初、ホルンちょっとつまり気味・・・?。
盛り上がるところでは金管の雑味が感じられ、全体が不必要に焦りすぎているように聴いた。
Not Great だ。
2楽章
ここはオーボエを聴く。
吉村結実さんのオーボエは、素直で健やかな彩豊富な音色。安心して身を委ねてしまう。
何度繰り返しがあってもよい。
オーボエ Great だ。
3楽章
3楽章が好きだ。
今日は、この楽章を聴きにきた。
いい。
細かく他パートに渡していくところが自然で、きれいなメロディ―がボリューミーに合わさって届いてくる。
曲調が変わるところの木管も楽しくでもちょっと哀しくじーんとする。
なんか、調子が戻ってきたーー。
4楽章
素晴らしい。
奏者全員の全霊がブロムシュテットに呼応してバランス、ボリュームがピタリと合いながら盛り上がっていく。
最終のところの「ダン ダン ダン ダン」と力強く打ってくるところは、ブロムシュテットもガツンとパンチを効かせていた、すごい。いいもの見た!
“97歳とご高齢なのに。””遠い日本までわざわざ来てくださり。”という枕詞でこのコンサートに臨んだが、大変失礼であった。
細密で表情豊かにシューベルトの世界を魅せてくれる演奏そのものが心に刻まれた。
カーテンコールにもなんども姿を見せてくださった。
ブロムシュテットが引いた後も、ファンの方々が舞台下手にスマホを手にもう一目御拝顔をと集まり、律儀に再び現れお手振りくださった。
こんなお人柄も合わせ、最高のシューベルト体験であった。
お手振り
翌朝も4楽章のフレーズが頭で鳴っていた。
第8番『グレート』4楽章、終盤「ダン ダン ダン ダン」と盛り上がって終わるところ。
演奏:ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 シュターツカペレ・ドレスデン 1967年録音
2024年10月27日 NHKホール