パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィル &樫本大進 ベートーヴェン、モーツアルト に行ってきた。
曲目は
シューベルト:イタリア風序曲第2番
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
ベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲のソロはヒラリー・ハーンの予定であった。
ところがハーンさんが体調不良でソリスト変更。
がっかりしていたら。交代演者は
なんと!なんと!!なんと!!!
樫本大進。
幸運を来年分まで使ってしまったのではないかというくらいの福徳。
大変に贅沢なヤルヴィ・サンタからのスペシャルクリスマスプレゼントだ。
舞台に登場され、コンマスの方と数回音合わせをしている、その瞬間の音がもう素敵。It’s a 樫本ワールドの始まりだ。
さて。
ベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲
音一つ一つにワックスがかかっているかのような艶やかで伸びやか、そして輪郭がはっきりした音。
高音はキュイィーーンではなく、力みなく光のようにまっすぐな音は宇宙にまで届く。
カデンツァは旋律があったり装飾があったり、3人くらいで弾いている?と思うほどいろいろな音が聞こえてきた。
この曲はヴァイオリンがソロながらオーケストラの伴奏的な役割もするが、そのときもまた完全主役。
カンマーフィルは少人数編成でアットホームな雰囲気、指揮者ヤルヴィとの距離も近くて、小回りが利いている。
ヴァイオリンがふわりとそろった幸福な音色。
時に、ちょっと木管系のリズムが一定しないように感じるところがあった。
ソリスト変更となるとソリストはもちろん大変だが、オーケストラも結構な影響があるのだな。
全体丁寧で濃い演奏だった。
急遽でなかったら、さらなる大進節とカンマーフィルの丁々発止が展開されたかもしれない。ぜひ、次の機会を待ちたい。
どの時間もリラックスさえ感じる自然体で時に笑顔もみせながらの大熱演でクラクラきた。
急に「やって」って言われたら「いいよ」って、譜面を見ずに3楽章全力でやってしまう超一流ソリスト。ここまでやれるにはいったいどれだけの鍛錬と気合が必要なのだろうか。
しかも。アンコールも演奏してくれた。
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005より 3. ラルゴ。
しみた。
交響曲第41番「ジュピター」
1楽章、いきなりガツンと入った。
テンポは速めで、ティンパニーもほどよい弾みで祝祭感がバッチリだ。
ヤルヴィとカンマーフィルは2004年から20年の絆があるそうだ。
心なしか大事なお客さん帰られて安心して家族で演奏しているご様子。
ヤルヴィの細かい指揮とオーケストラの気がピッタリあっている。
2楽章は静かに入って、ちょっと間をとるところに注目していた。この間がどのくらいなのか。どちらかというと個人的に長めが好みだが、ヤルヴィの間はちょうどよい。
短くなく、かといって長すぎないことで曲の流れの勢いがついている。なるほどーー。
全体派手すぎないが表情が細やかにつけられている。
正直、2楽章は時に集中力が切れてしまいがちだが、全然そのようなことはなく、次次と活き活きとした流れに引き込まれた。
カンマーフィルは弦がとってもよい。
ヴァイオリンは若々しく、草原を吹き抜ける風のよう。
全体バランス抜群で、パートがまろやかに絡み合い一つになっていて揺られている感じ。
活き活きとした進行がさわやかだ。
この曲をカンマーフィルで聴けてよかった。
自分的永久保存演奏としたい。
こちらもアンコール演奏があった。
・シベリウス:悲しきワルツ op.44-1
小さな小さな音、蚊の羽音よりも小さな音にとても驚いた。
初めて聞いた曲で静寂に耳を凝らした。
シベリウスこんな悲し気な寂し気な曲を作曲していたのか。
幕開けのイタリア風序曲第2番も初めて聞いてとてもよい曲。
今日も口ずさんでいる。
コンサートは自分だけでは届かない曲に出会わせてくれるのも醍醐味だ。
ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の正式名称をみたら。
The Deutsche Kammerphilharmonie Bremen
ブレーメンの音楽隊だ!
ヒラリー・ハーンさんは、ゆっくりお休みいただいて、またぜひ来日していただきたいです。
モーツアルト:交響曲第41番「ジュピター」1楽章出だし。
演奏:オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1962年3月録音
モーツアルト:交響曲第41番「ジュピター」2楽章間に注目の最初。
演奏:オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1962年3月録音
※写真はJAPAN ARTSウェブサイトより
2024年12月9日 東京オペラシティ コンサートホール