ライナー・キュッヒル with ウィーン室内管弦楽団

キュッヒルさん&ウィーン&ベートーベン、ジョイフルです。

曲目は
シューベルト作曲 イタリア風序曲 第2番
ベートーベン作曲 ヴァイオリン協奏曲
ベートーベン作曲 交響曲第7番

ライナー・キュッヒルさん


キュッヒルさんは、ウィーンフィルのコンサートマスターを1971年から45年間務められました。就任は21歳の時だったそうです。
中野雄著『ウィーン・フィル音と響きの秘密』によると、キュッヒルさんは殺人的なスケジュールの音楽の仕事の疲れは音楽で癒す方なのだそうです。
「オペラやオーケストラ演奏だけではストレスがたまるから室内楽をやる」のだとも。

奥様が日本人と聞くといきなり親近感がわいてきます。

舞台への登場では、もったいぶらずに先頭で出てこられてびっくり。
続いて楽団の方々がにこにこしながら位置につかれました。
それだけですでに盛り上がります。

全曲 弾き振りです。

シューベルト イタリア風序曲 第2番

管楽器が順番に奏でられていくところからスタートし、ヴァイオリンにきます。
弦は強くしっかりした音です。
チェロはまろやかでボリューミーな音で一気に引き付けられました。

徐々にフォルテになって急ぎ気味になっていくところは、4台のチェロ、2台のコントラバスを中心に分厚い音が拡がってムーブ感に包まれ、音の波に持って行かれそうでした。
おお! これはまさにウイーン風!! と感じました。

ベートーベン ヴァイオリン協奏曲

キュッヒルさんは、1音1音をくっきりと弾かれていました。
ブッチャーが肉の塊を叩き切っているかのような力強さです。
息をもつかせぬパワフルなスピード感で、暴れ馬(ヴァイオリン)に鞭を細かく入れてトップスピードで駆け飛ばすとでもいった勢いです。
惜しげもなく全体重でヴァイオリンに熱を吹き込むような骨太な演奏で、聴いている方も汗ばむほど。

カデンツァは完全オリジナル版の装いで「これがカデンツァというものか」と感じ入った体験でした。

ヴァイオリンの弾き振りはどのようにやるのかと思っていましたら、「顔面」でした。
おもにチェロに寄っていって光線を出し、タイミングはコンサートマスターが体全体でコントロールするといった様相でした。

アンコールも2曲も披露してくださり、贅沢間満載でした。

ベートーベン 交響曲第7番

ヴァイオリンがしっかりした音ですので、全体はぎれよく勇ましい7番でした。
ビブラートが控えめで音を後に残さないようになっているのかなと感じました。

3楽章は、最高です。全体の強さがかっこよく、チェロとコントラバスが底からまろやかかつボリューミーに支えるところが硬軟織り交ぜての立体感がすごかった。

4楽章はもう全員全力でビタっと揃って壮観、でもやっぱり指揮者はいたほうがよかったのかな、という気もしました。

1楽章のメインは特にですが、フルートはもうちょっと輝いて欲しいなと思いました。

アンコール ウインナワルツ「春の声」

アンコールは、ヨハン・シュトラウス2世作曲のウインナ・ワルツ「春の声」です。
キャーーーー。
本物のウイーンのワルツよーーー。

ズ タッター ズ タッター ズ タッター ズ タッター

が聴けました。
これがアンコールで聴けるなんて、キュッヒルさん大好き。

2022年12月5日 武蔵野市民文化会館

関連記事

  1. 神聖ローマ帝国の貴族がベートーベンをつくった

  2. 『絶望名言』。難聴のベートーベンの絶望名言とは。

  3. ロシア国立交響楽団[シンフォニック・カペレ]2019

  4. パユ様 SOLO Vol.3

  5. 【新説!】ベートーベン交響曲第3番「ボナパルト」から「英雄」に変わった真相

  6. ベルリンフィル・ハーモニー管弦楽団がキリル・ペトレンコとやってきた


Warning: Undefined array key "show_date" in /home/publishing/magazine7.net/public_html/classic/wp-content/themes/gensen_tcd050/widget/styled_post_list1.php on line 59
  1. ベートーベン交響曲第3番『英雄』表紙。「ボナパルト」が消された!

  2. ベートーベンが聴こえなくなったのは何歳?

  3. ベートーベン 「ハイリゲンシュタットの遺書」

  4. モーツアルト死の謎。わかっていること。いないこと。

  5. モーツアルトのオペラ「魔笛」はフリーメイソンのための曲

  6. マーラー交響曲第1番『巨人』。『巨人』とつけた理由は?

  7. モーツアルトの妻・コンスタンツェの真実

  8. ベートーベン交響曲第1番のパトロンは

  9. チャイコフスキーのバレエ音楽。「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「…

  10. モーツアルト交響曲第35番「ハフナー」。ハフナー家のための曲


Warning: Undefined array key "show_date" in /home/publishing/magazine7.net/public_html/classic/wp-content/themes/gensen_tcd050/widget/styled_post_list1.php on line 59
  1. ウィーンが「音楽の都」の理由。それはハプスブルク帝国の首都にあ…

  2. ナポレオン 戦争とベートーベン交響曲年表

  3. ナポレオンの馬の絵の肖像「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト…

  4. ボロディン作曲『韃靼人(だったんじん)の踊り』もウクライナ由来。

  5. ザルツブルク音楽祭 R.シュトラウス、カラヤンがキーマン。映画「…

  6. ベートーベンのパトロン、ラズモフスキーはコサックのリーダー=ヘト…

  7. モーツアルト、ベートーベンをビッグにした「ハプスブルク帝国」と…

  8. モーツアルト交響曲第36番の「リンツ」38番の「プラハ」はハプスブ…

  9. チャイコフスキー交響曲1番 「冬の日の幻想」さび

  10. モーツアルトの生まれたザルツブルクは「ザルツブルク市街の歴史地…