ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団のベートーベン8番

ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団

ブダペスト・フィルが日本ツアーを行っています。
先のハンガリー国立歌劇場講演に引き続いて、オーケストラだけでブタペスト・フィルとなって演奏しています。
オペラ座管弦楽団の選抜メンバーが「フィルハーモニー」として活動しているのは世界でもブダペスト・フィルとウィーン・フィルの2団体だけだということです。

今回はピアニスト・萩原麻未(はぎわらまみ)さんと共演しました。

曲目はモーツアルト作曲「フィガロの結婚」序曲

モーツアルト作曲 ピアノ協奏曲第20番ニ短調

ベートーベン作曲 交響曲第8番

ポピュラー曲でうれしいです。

「フィガロの結婚」序曲

始まる前の音合わせ。
開演前は、聴く方も緊張感に包まれます。
編成は40人弱くらいの小編成です。
コンサートマスターが立ってピアノで音を鳴らしたその1音が。
バラバラっと外れた音、会場が一気になごみました。
あったまったところで、指揮のヤーノシュ・コヴァーチさんが登場します。
指揮台はなく、楽団と近い位置でこじんまりした雰囲気で、演奏が始まりました。

ハンガリー国立歌劇場「魔笛」でも感動したのですが、ヴァイオリンの音が大変にまろやかです。春の柔らかい日差しに木々の新芽がきらめくような音で、体が浮いてくるような心地よさです。

そして。チェロです。なんて美しい音色なのでしょうか。
あまーーくふわっと音の輪が広がっていき、花がポンポンと咲いていくようです。
今日はチェロを聴くと決めました。

モーツアルト ピアノ協奏曲第20番

出だし、不穏な曲です。どんな不穏かを楽しみにいきましたが、全然不穏ではありませんでした。
弦のきれいな響きで楽しげでさえあります。

そして、ピアノ。
萩原麻未さんはとにかく力強い。
剛力麻未とよびたいほど、フォルテでオーケストラを圧倒せんばかりです。

アンコールでは「バッハ/グノー: アヴェ・マリア」を弾いてくれましたがこちらは一変、流れるようなピアノがきれいでした。

「バッハ/グノー」の意味がわからなかったのですが、次の意味だそうです。
J.Sバッハの『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』から「第1番 前奏曲 とフーガ ハ長調」の冒頭部分を伴奏にして、シャルル・グノーが作曲した戦慄をのせる形で作曲された曲。

ベートーベン 交響曲第8番

1楽章の祝祭的な出だしが好きなのと、3楽章の冒頭の弦、ヴィオラ、チェロがビロビロビロとはいるところのだるい感じがどのような風なのかを楽しみにしました。

指揮のヤーノシュ・コヴァーチさんは体と手でを各パートにタイミング、リズム、強く・弱くと細かく速やかに指示していました。
フォルテでインパクトを要する時は、足で舞台を踏み鳴らし、奏でられる音楽は非常にキレのある滑らかな演奏です。

さて3楽章ですが、だるいイメージとは全然違いました。
弦全体のまろやかさと軽さで陶酔感満載、心地よい幸福感に包まれました。

アンコール

会場は当然、アンコールを熱望。
ここでおもしろかったのが、会場ばかりか楽団員の方々もヤンヤヤンヤと足踏みをして指揮者にアンコールを促しているのです。
こんなの初めて。

演奏後の拍手で指揮者がパート別に演奏者を立たせて讃える時も、他のメンバーが「イェイ」のような声で一緒に讃えているのです。
こんなのも初めて。

そういえばピアノ協奏曲の時も観客と一緒になって萩原麻未さんに足踏みでアンコールしてましたし。
こんなの初めて。

アンコール曲

・モーツァルト: 『3つの舞曲』より 第3番
クリスマスを意識してなのか、鈴の音を入れる曲で、ヴィオラの方を中心に何人かがいたずらっぽく”シャンシャン”鳴らして楽し気でした。

どうやらハンガリー人はとても陽気な方々らしいです。
そういえば、前回の「魔笛」の時も最後は4人でビールで乾杯していたし・・・。

とてもうれしくなりました。

・ヨハン・シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス兄弟: ピツィカート・ポルカ
allピチカートの本物を見て・聴けて最高でした。

写真:武蔵野市民文化会館ウェブサイトより

2022年11月17日 武蔵野市民文化会館

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