ラハフ・シャニ指揮 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、庄司紗矢香 ヴァイオリン

ラハフ・シャニ指揮 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、庄司紗矢香 ヴァイオリン に行ってきた。

曲目は
モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲 K.492
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 二長調 Op.61 ヴァイオリン:庄司紗矢香
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」ホ短調 Op.95

モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲

まろやかながらメリハリのある優しい感じのオーケストラなのだな、という感じ。
テンポはゆっくりめで、シャニは丁寧にいく方なのかなと思った。
ファゴットもよい音だ。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

遅い。
ずいぶんとゆっくりである。
1楽章で、さぁ!ヴァイオリンがくるぞ、という入りのインパクトがちょっと弱めかなと。
勢いをつける1楽章もせり上がっていく3楽章もゆっくりなので、2楽章の安らぎの感じが目立たないくらい、どうももっさりだ。
レコードの回転数が遅い時のような違和感が続いた。

庄司さんのヴァイオリンはアクのない清廉な音なのだが、とにかくマイペースなのだ。
きちんきちんと進めていき、緩急で引き込んでいくタイプではないようだ。
カデンツァは逆にしっかり聴けたので、ソロやソナタのような形式だと向いているのかもしれないが、コンツェルトでオーケストラと「呼んで答えて、答えて呼んで」のような丁々発止という感じではなかった。

3楽章は急ぎたいシャニ、動かない庄司さんのせめぎあいに聴こえてこれはこれでおもしろかった。

オーケストラは、弦が全体を包み込んでよい響きだった。

庄司さんアンコールをやってくれた。
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 第3楽章「ラルゴ」

交響曲第9番「新世界より」

爆発してほしい、人数も前半よりかなり増員されとても楽しみにした。

1楽章はティンパニの一撃を合図に早速かっこよいメロディーが発せられるが、まずはスピードよりも落ち着いた感じで開幕した。
休憩中に、トロンボーンの方がメインメロディーの音を軽く出されていたのだが転がりぎみで、大丈夫かなと思っていたのだが、さすが本番ではバッチリかっこよく決めてくれました。
2楽章はイングリッシュホルンは素直なよい音。
もう少し朗々と歌ってくれてもよかったかな、ちょっと遠慮がちだったかなと思った。
背景の弦が細やかできれいだ。
3楽章と4楽章の出だしを楽しみにした。
いずれも、コントラバスがすべてを支配する。
よい。ブゥオッというしなやかで強い演奏。ここが聴けただけでも大満足。
コントラバスの大地の上でチェロ、ビオラ、ヴァイオリンも活き活きとハーモニーを形成している。

新世界は”切なさと奮い立つ勇気”のまざりあいの物語で、その光景が入れ代わり立ち代わり変化していくところがエキサイティングな曲だ。
シャニの語りは”奮い立つ勇気”はおもいっきりのフォルテで期待感を満たしてくれるのだが、一辺倒というか。
“切なさ”との織り重ねにもう一つ精工さがあったらさらにうねりがあったのではないかと思った。

全体通して金管が魅力的であった。
ホルン、トロンボーン、トランペットとも高低安定して弦とも溶け込みながら重要なフレーズを響かせていて、本物だー、とうれしかった。

全体みなさん優しい演奏をなさるオーケストラなのかなと思った。
クラリネットは元気でよかった。

アンコール、2曲もやってくれた。
メンデルスゾーン:ヴェネツィアの舟歌 Op.19-6
メンデルスゾーン:無言歌集ハ長調 Op.67-4「紡ぎ歌」

詳細行き届いているような感じでよかった。

2025年6月28日 横浜みなとみらいホール 大ホール

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