ミヒャエル・ザンデルリンクのドレスデン・フィル

ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団が来日しています。

ドレスデン・フィルは1870年創立の歴史ある旧東ドイツのドレスデンを拠点として活動する管弦楽団です。
1870年というと、ドイツ帝国が成立するのが1871年ですから、その前年、ドイツがイケイケの頃に結成された楽団だと想像されます。

位置的には、ウィーン・フィルのウィーンと、ベルリン・フィルのベルリンのちょうど中間あたりです。

率いるのは、主席指揮者のミヒャエル・ザンデルリンク。
1967年東ベルリン生まれでもともとはチェリスト。長身で手足長くオーケストラ全体を包み込むようにダイナミックかつ滑らかな指揮をされます。
そして。イケメン。

伝説的巨匠クルト・ザンデルリンクの息子さんということも話題ですが、ファンを大切にし、日本でも人気が高い注目の指揮者です。

曲目は
シューベルト:交響曲 第7番「未完成」
ベートーベン:交響曲 第5番「運命」
ドヴォルザーク:交響曲 第9番「新世界より」

CD観賞会なのか!?とみまごう豪華ラインナップです。

シューベルト:交響曲 第7番「未完成」

この曲は2楽章しかないので「未完成」のタイトルがあるわけですが、1楽章、2楽章とも入りから終盤までバラエティー感溢れる流れでそれぞれ”両A面”で1曲でもよいのではないかと思う聴きごたえのある曲です。

どのような表情が聴けるのか楽しみでした。

ですが、何かちょっとおかしいぞ、という感じ。
緩急やアクセントがバラバラで、楽器もそれぞれが勝手に鳴らしているといったようなアンバランスに聴こえました。
弱から強のダイナミックなはずの箇所もなんとももっさりしていて、”効いて”おらず、指揮者の思いが形になっていないのでは?と感じられました。

合わせ不足の「未完成」かな、といったところでした。

ベートーベン:交響曲 第5番「運命」

この曲は「ジャジャジャジャーン」の「ジャーン」の長さに指揮者の特徴が出るということですので、まずそこに注目です。
ミヒャエルは意表を突く短さでした。
そして次への移りも、急いて急いてという振りで「新しい感覚!」と胸躍りました。
ところが、進んでいくとオリジナルな工夫に見られるところも”これキマってるのかな・・・”という不安が生じ、ソロが我強く吹いていたり、ピチカートがドタドタだったりで溶け込んだ心地よさをもう一つ感じることができませんでした。
“波が押しては引きする”ようになったらいいのに、というところも中途半端で指揮者が”空振り”しているようにさえ感じました。

第5番は、3楽章から4楽章へ移っていくところが超絶かっこよく「ここ聞きに来たのでお願い」という思いもあり、祈るような気持ちで3楽章に入りましたら。
これが。すごい。
3楽章からなぜかガラリと雰囲気が変わり、合っています。
最高の3→4のところ、やー、カッコいい。さすがキメてきました。
これこれ、とほっとして満足です。

今回は、ミヒャエルのチャレンジが途中だったのかな。
でも今回は日本と韓国のツアーで曲も共通しているのでそんなことでもないでしょうし、ちょっとお疲れぎみだったのかしら。
会場販売のCDを買ったので、ゆっくり聞いてみようと思います。

ドヴォルザーク:交響曲 第9番「新世界より」

休憩をはさんでいよいよ新世界です。

新世界は楽しい曲です。
1楽章:”サビ”が複数あります。西部劇で聴いたことのあるフレーズも。
2楽章:「遠き~山に~日が落ちて~」。どのような”泣き”が奏でられるのか。
3楽章:弦軍団が「ザッザッ ザッザッ」と押し寄せてくるところが聴きどころ。
4楽章:冒頭、CMで聴くことがあります。それに続くメロディーもとにかくかっこいいです。

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1楽章西部劇で聴いたことのあるフレーズ
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さて、舞台をみると。
人数がふえています。
前半に70人位だったのが、100人位(数字不確定)舞台いっぱいに奏者が着席して壮観です。

始まると、出だしから決めてきました。
もう大丈夫。
「これこれ、オーソドックスな流れ」という感じです。
細かい細かいところは丁寧に丁寧に、膨らんでは抑えるところも心地よく、指揮の腕、手のひらとオーケストラが滑らかに繋がっているようです。

最終楽章はもう浸るだけ。

ロシア的な爆音と軽やかさとキレが合わさったミヒャエルのドレスデン、最後は大満足でした。
この3曲を演奏し倒すタフさもすごかった。
ザンデルリンクは残念ながら今年でドレスデンを退任するようです。
またぜひどこかのオーケストラと来日して欲しいです。

今日の1楽章は

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ベートーベン:交響曲 第5番「運命」3→4のところから
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