竹澤恭子 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル 第1日 に行ってきた。
曲目は
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第1番
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番
クリスマスのバッハである。
竹澤さんは武士のようなたたずまいだ。
ヴァイオリンはさながら木刀。
舞台はまだ明けきらない早朝の澄んだ空気の道場庭。
バッハの冒頭「ズッチャーーン」で静寂を切り裂いた後は、きっちりきっちりと律儀な音が刻まれてくる。
剣の使い手が無駄のない動作で精神を高めて振り込む、しかしその繰り返しには一つとして単調な瞬間はない、というような感じ。
クリアで厚みのある音をけれんみなしで一音一音届けてくれているようだ。
かと思うと、1番パルティータ4楽章舞曲Tenpo di Boreaのようなメロディーが楽しい部分ではきれいで楽しい音をまさに踊るように、Doubleのように速いところは明るく流麗さを聴かせてくれた。
聴きどころというか、見どころというか”無伴奏のフーガというものはいったいどのように演奏されているのだろうか”目撃しようと望んだ。
ベース的な音があり、そのうえに主メロディーとサブが聴こえ、2人は必要なのではないかとその場でも思ったが、間違いなくお1人で奏でられていて、見ても謎は解けなかった。不思議だ。
J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンの今日の3曲は下記のような構成でそれぞれが3~6分程度。
開演前はともすれば睡魔との戦いも? との懸念を持ちながらであったが、それは杞憂に終わった。
ソナタ1番
1楽章
2楽章
3楽章
4楽章
パルティータ1番
1楽章 ・舞曲
・ドゥーブル(変奏)
2楽章 ・舞曲
・ドゥーブル(変奏)
3楽章 ・舞曲
・ドゥーブル(変奏)
4楽章 ・舞曲
・ドゥーブル(変奏)
ソナタ2番
1楽章
2楽章
3楽章
4楽章
演奏後にお話しされた。
武士とはまったく異なる、かわいらしい感じの方であった。
お話によると、竹澤さんは「バッハの音楽と真剣に向き合うことが、どれほど大変で重いものであるかを感じれば感じるほど、自分の未熟さを痛感し、なかなかその一歩を踏み出す勇気が持てなかった」
「が。ではいつだったらやれるのか、もう今やろう」
ということで、今回初バッハに臨まれたということであった。
竹澤さんが武士に見えたことに合点がいった。
今後は積極的にバッハを演奏していかれる、とのこと。
そんな真摯な竹澤さんの魂を今日は聴けたのだなと思った。
バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番4楽章舞曲(ハイフェッツ演奏)
※写真は武蔵野文化会館ウェブサイトより
2025年12月22日 武蔵野文化会館小ホール
