ヒラリー・ハーン&アンドレアス・ヘフリガー デュオリサイタル

ヒラリー・ハーン&アンドレアス・ヘフリガー デュオリサイタルに行ってきた。

曲目は
ブラームス ヴァイオリンソナタ第1番『雨の歌』
ブラームス ヴァイオリンソナタ第2番
ブラームス ヴァイオリンソナタ第3番
以上。ブラームス ヴァイオリンソナタ、コンプリートという贅沢

優しい。
全体的なイメージだ。
“情”満タンのブラームス ヴァイオリンソナタとは一味違った。

小さな音はきれいで、強い音は澄み切って一寸の狂いもない「ああ、美しい調べを聴いている」と半端ないリラックスを感じる。

抑揚も激しさはなく流麗に流れ、ヘフリガーさんのピアノはたゆたっている。優しいこもりうたのようで癒され、心洗われた。

2番、2楽章のピチカートのところはちょっと楽しいブレイクポイントだ。
ハーンさんのピチカートは派手でなくきちんとピアノを飾ってあげているよう。

3番、2楽章は悲しさ溢れた演奏orゆったりとした演奏に分かれると思っているが、ハーンさんは後者。
途中、止まった? というくらい抑えが効き、泣かしてくれた。
3番、3楽章は差し色ならぬ”差し曲”的な雰囲気が変わる曲だが、そこまで色付けはなかったように感じた。

各曲楽章ともケレンミを排除し、無農薬のゆでたて温野菜を良質な塩だけでいただいているような「静」を聴く演奏だった。

そんなハーンさんも3番4楽章は飛ばしてくれました。
ゆっくり温めていたエンジンの回転数を一気に上げてきた、そんな感じ。

ウェーブあり、キレあり、ハーン節とでもいいましょうか細かな揺らぎをちら見せし、空気はヘフリガーさんとピタリ。

アンコールもやってくれた。
曲はウィリアム・グラント・スティル作曲:マザー&チャイルド
お2人がお気に入りの曲ということで、メモをみながら日本語でハーンさんが紹介してくれた。ハーンさんの声も聞けた!

サイン会があった。CDを購入すると整理券がもらえる。
始まるまでずいぶんと待ったのだが、なんと演奏用のドレスからバリっと着替えて登場された。
これが黒ベースのフォーマルでとても素敵であった。


今日の一曲
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番3楽章、最後ターボがかかったところ。

play_circle_filled
pause_circle_filled
  
volume_down
volume_up
volume_off

演奏:(ピアノ)ウィリアム・カペル:(ヴァイオリン)ヤッシャ・ハイフェッツ 1950年11月29日~30日録音

2024年5月16日 東京オペラシティ コンサートホール

関連記事

  1. グスターボ・ヒメノ指揮、ノア・ベンディックス・バルグリー、with N響 感想

  2. 仲道郁代+金子三勇士

  3. ベルリン・フィルハーモニック・ウィンズ

  4. パユ様

  5. ソヒエフ with NHK交響楽団 「ダフニスとクロエ」がすごかった

  6. トゥガン・ソヒエフ with N響 「ロメオとジュリエット」

  1. ベートーベンの弦楽四重奏曲の「ラズモフスキー」の意味

  2. モーツアルトの妻・コンスタンツェの真実

  3. チャイコフスキーの死因

  4. モーツアルト死の謎。わかっていること。いないこと。

  5. チャイコフスキーはモスクワ音楽院の理論担当教師

  6. ベートーベン「不滅の恋人への手紙」。不滅の恋人は誰か。

  7. 【新説!】ベートーベン交響曲第3番「ボナパルト」から「英雄」に変…

  8. ベートーベンのパトロン 時代による変遷

  9. 「ウェリントンの勝利」。ベートーベン作曲ベストヒットNO.1はこれ…

  10. チャイコフスキーの妻

  1. ウィーンが「音楽の都」の理由。それはハプスブルク帝国の首都にあ…

  2. モーツアルト、ベートーベンをビッグにした「ハプスブルク帝国」と…

  3. 神聖ローマ帝国の貴族がベートーベンをつくった

  4. ボロディン作曲『韃靼人(だったんじん)の踊り』もウクライナ由来。

  5. チャイコフスキー交響曲1番 「冬の日の幻想」さび

  6. チャイコフスキー作曲のオペラ『マゼッパ』はウクライナの英雄

  7. ナポレオンの馬の絵の肖像「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト…

  8. チャイコフスキー交響曲第2番『小ロシア』改め交響曲第2番『ウクラ…

  9. ナポレオン 戦争とベートーベン交響曲年表

  10. ザルツブルク音楽祭 R.シュトラウス、カラヤンがキーマン。映画「…