モーツアルトもベートーヴェンもドボルザークもシューベルトも、弦楽四重奏はハーゲンで聴いてきた。
CDで何度も。
最初に来日演奏を聴きに行ったときは「実在の人物がここにいる」と激しく感動した。
そんなハーゲンカルテットがラストツアーということだ。
曲目
| 曲目 | 作曲 |
| 弦楽四重奏曲 第13番, D804 《ロザムンデ》 | シューベルト |
| シューベルト:弦楽五重奏曲 Op.163, D956 | シューベルト |
公演日時・会場
2026年7月5日、ミューザ川崎シンフォニーホール
シューベルト 弦楽四重奏曲 第13番 D804 《ロザムンデ》
最初、小さく小さく弦がささやく。始まったのだな。
第1ヴァイオリンのルーカスさんの音は透き通って瑞々しく、きれい。
ささやきはそのまま細い音で全体進んでいった。
フォルテはブンブンとがんばらない大人のフォルテ。
この効果で小さな音がよりきめ細やかに立ち上がって聴こえてきた。
3楽章は楽しい曲。チェロのクレメンスさんが音頭を取って3人が乗っかって踊っているようだ。
4楽章も音量は押さえながら表情付けの妙が満載。
これが45年の息づかいか。
丁寧に 丁寧に。シューベルトはこうやって聴くといいよと教えてくれているような演奏だった。
シューベルト 弦楽五重奏曲 D956
大作である。
大河ドラマのように、山あり谷あり平野あり・・・。
ささやき演奏でどうなるのかと思っていたら。
温存していたのですか? というくらい13番とはまた違ったテンションできた。
チェロに北村陽さんが加わって、全力全開モードだ。
北村さんは4人に溶け込んでいて異質感なく、4人も合わせてボリュームをアップしてきた感じ。
2楽章はチェロと第1ヴァイオリンのピチカート合戦が見もの(聴きもの)であった。それぞれ独自の音色が、雨粒がトトトトと木々からドロップしているように自然な連携で紡がれているのだ。
3楽章は勢いがすごい。ヴィオラのヴェロニカさんも濃厚な音で燃料を注ぐ。
瞬間、ヴィオラをちょっと水平に持って締めるところがかっこよい。
第1ヴァイオリンに目を向け大きめな動作でヴィオラを操るヴェロニカさんはこのカルテットの要なのだ。
最後は全力疾走。
小さな小さなハーモニーも全力のハーモニーも、この4人の方々ならではのなめらかにつながって届いてくるユニークな音があるなと思った。
派手なサプライズはないけれど、微細な部分の仕掛けが随所に光る演奏であった。
終演後は大拍手。
弦楽四重奏の魅力を教えてくれたカルテット。
並ばれている4人を見られるのは最後なのかと思うとじんときた。
※写真はチラシより
