ペトレンコ指揮、ベルリンフィル 2025/11/23

ペトレンコ指揮、ベルリンフィル、シューマン:『マンフレッド』序曲、ワーグナー:ジークフリート牧歌、ブラームス:交響曲1番 に行ってきた。

曲目は
シューマン:『マンフレッド』序曲
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブラームス:交響曲第1番

シューマン:『マンフレッド』序曲、ワーグナー:ジークフリート牧歌

『マンフレッド』序曲
冒頭、休符がある。これが結構時間をとった感じで音のないオーケストラの緊張感に集中した。
序曲のわりにもっさりした曲だなと思っていたが、スピード感が入っていて表情も劇的につけられていて「これから始まる」感があり、期待が高まった。

ジークフリート牧歌
結構な人数が退席し、小編成に。
コンサートマスターは、ノア・ベンディック=バルグリー、隣に樫本大進。ヴァイオリンの細かく柔らかい音色は樫本サウンド風でえもいわれぬきれいさだ。そこに、エマニュエル・パユ様の突き抜けて生命力がみなぎる輝くフルートが切り込んできて、曲全体が立ってくる。
そして、アルブレヒト・マイヤーさんの重厚でまろやかなオーボエが木霊のような音色で動きがつく。


チェロもよい音だ。
ただ、全体フォルテに向かうとき沸き立ってくるような幻想感がないように思った。
普通かなと。

なぜ、人数を減らす曲を選ぶのか。
せっかく世界最高峰のメンバーがきているのになぜ出してくれないのか。残念でならない。
ワーグナーだったらなおさらほかの曲があるのではとも思う。
フルートとオーボエを聴くための曲だったのだと自分を納得させたが。

ブラームス:交響曲第1番

1楽章 出だし、丁寧な入り。ティンパニは乾いた音に感じた。
弦は律儀で硬い正確さで厚みもあるが色合いはあまりつけず淡々と進んでいく感じ。
そこに、ホルン、トランペットがふいごのようにムーブメントを送り込んできてわくっとした。
フォルテのところは強靭で迫力がすごい。

2楽章 ヴァイオリンの繊細な音色にコントラバスが加わっていくところのハーモニーは上質な羽毛で包まれたような心地よさだ。
そして、ヴァイオリンソロ。ノアのヴァイオリンは青竹が勢いよく伸びていくようなみずみずしい明るい音色でよかった。


3楽章
クラリネットが冒頭で、木管の章だ。
ヴェンツェル・フックスのクラリネット、パユ様のフルート、マイヤーさんのオーボエが活き活きと表情をつけて聴き入った。
4楽章 ホルン。ホルンにつきます。シュテファン・ドールさんのホルン。
揺らぎなくきっぱりとした壮大な音色が大空に広がる真っ白な雲海のようにホールを包み込み、それをパユ様が引き継ぐ夢の競演。


最高です。
これが聴けて、今日来て本当によかった。

4楽章 ホルンからフルートのところ
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演奏:ルドルフ・ケンペ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1959年1月2日~3日、5日録音

その後の4楽章は”第9 喜びの歌”が楽しみ。
いきなり速いテンポに。
木管が弦を追い立てアグレッシブな構成だ。
サプライズ、こういった個性が他でも出せなかったものか。

4楽章 “ベートーベン第9 喜びの歌”のところ
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終盤の大盛り上がりは重戦車最大出力の感じでビターッと揃ってさすがの見事さで、きっと他では聴くことのできない高密度の爆音の塊を浴びることができた。
だが、バランスがとれていないのかひたすら音が大きいなという感想をもった。

個人技が光る演奏であった。

サイン会があった。指定の商品(6000円など)購入者対象、どなたがサインされるのかは不明ということで、ちょっと寂しく感じていた。
終演後CD売り場に樫本大進、パユ様、ルートヴィヒ・クヴァントさんのお名前が掲示されていて、これは欲しい買うしかないと思ったがもう整理券は終わりということだった。
自分は参加できなかったけれど、この方々のいつも変わらないファンサがうれしくて、暖かい気持ちで帰途についた。

※アイキャッチ写真はパンフレットより。プロフ写真はberliner philharmoniker webより

2025年11月23日 サントリーホール

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