フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン 2025 夜公演“LOVE”

曲目は
ギュルトラー:Noriet Saule Vakara
ギュルトラー:Ei Saulite
ベートーヴェン(コンツ編):スウィング・オン・ベートーヴェン
ギュルトラー:トリスタンのタンゴ
ヤン・ティルセン(ギュルトラー編):アメリのワルツ
プロコフィエフ(コンツ編):組曲「ロメオとジュリエット」
ピアソラ(ギュルトラー編):アレグロ・タンガービレ
ブーランジェ(コンツ編):カンティーク
クインシー・ジョーンズ(コンツ編):ソウル・ボサノヴァ
ヤナーチェク(ギュルトラー編):歌劇「利口な女狐の物語」組曲
坂本龍一(咲間貴裕編):戦場のメリークリスマス
グリエルミ(コンツ編):バラ色の人生
コンツ:「タイタニック」より

アメリのワルツ、ロメオとジュリエット、ヤナーチェク「利口な女狐の物語」

ウィーンフィル、ベルリンフィルの中堅スターらのコラボレーション。
“普段クラシックにはなじみのない人も楽しめる。短い曲を多数演奏する。テーマは「LOVE」”ということで、楽しみに行った。

最初の2曲は作曲がセバスティアン・ギュルトラー。

この方はヴァイオリン担当で2008年までウィーン・フォルクスオーパー交響楽団で第1コンサートマスターをされていたそう。
作曲、編曲をなさっているということだ。
7人の楽器の”声”を活かしたとっても美しい曲。
そしてヴァイオリンをウクレレにしたり、声でパーカッションしたり実際歌ったり、お茶目で楽しい。
ダニエル・オッテンザマーのクラリネットがここで弾けて一気に空気をジョイフルにする。

この方のクラはクリアで伸びがあって高低が安定して踊るような音だ。

「アメリのワルツ」ではシュテファン・コンツがなんとピアニカを吹いている。

これがまた上手。
小学生がブーブー吹くピアニカも吹く人によってこんなにちゃんとした楽器なのかと驚いた。
「ロメオとジュリエット」もコンツ編曲。さすがに迫力には欠けたが、聴きどころを細かく各楽器に配分して「あれがこうなるのか」と楽しくキュートであった。

後半はピアソラ「アレグロ・タンガービレ」から3曲、ジャズチックな演奏になりかっこよい。
オッテンザマーのクラリネットの軽やかさが光る。

途中ヤナーチェクとクラシックの世界に入るが、まろやかな仕上がりで違和感なく飽きなく聴いた。
ノアのヴァイオリンも甘い。

ティロ・フェヒナーさんの澄んで優しくふくよかなヴィオラは絶品であった。

そして再びポピュラー曲を配すというサービス感あふれた構成でLOVEであった。

アンコールもやってくれた。
コンツ:Ciocarlia
スティング(コンツ編):イングリッシュマン イン ニューヨーク
盛り上がった。

ハッピーなギュルトラー、多才なコンツ、名司会者オッテンザマー

チラシ写真から想像するに「普段お堅い私たちもたまにはタガ外してはっちゃけまっせ!」というハイテンションな演奏なのかなと思ったが、なんのなんの、美しい音、きれいで柔らかなハーモニーの気品高きポピュラー音楽であった。
このメンバーのお1人お1人の音をたっぷり聴ける機会なんてなかなかない。
ホールというよりは、サロンにいて自分に弾いてくれているのだと妄想する贅沢時間であった。

ギュルトラーは繊細ながらハッピーなエネルギーを振り撒いてくれる。この方の音楽にたいする陽気さのおかげでリラックスした雰囲気で楽しめた。

コンツはもはやチェロを置いて縦笛をも吹いたりで大活躍。
ウィーンフィルからベルリンフィルへ移籍した方なので、このアンサンブルの接着剤はこの方なのだと想像する。
そして作曲が好きなのだな。
新しい響きとリズムでとてもいい。

オッテンザマーの名司会ぶりもテンションを上げてくれた。
元気よく丁寧な英語で曲を紹介してくれて「ほんと、みんな楽しんでいってね」という温かさがあふれていた。

来年もまた行こう。
ギュルトラーとコンツの曲を多くして、もっともっと遠慮なくエンジンをふかすような演奏も聴いてみたい。

※写真はJAPAN ARTSウェブサイトより

2025年12月9日 東京オペラシティ コンサートホール

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