ベルリン・フィルハーモニック・ウィンズ

ベルリン・フィルハーモニック・ウィンズ演奏会に行ってきた。

予定のメンバーから変更があった。
チラシでは次のメンバーだった。
フルート:アンドレアス・ブラウ
オーボエ:ジョナサン・ケリー
クラリネット:アレクサンダー・バーダー
ファゴット:シュテファン・シュヴィゲルト
ホルン:サラ・ウィリス

ところが、
4/4にオーボエのジョナサン・ケリーがアンドレア・ヴィットマンに代わったのだ。
ジョナサン・ケリー”ねらい”のわたしとしては、なんともショッキングなことであった。

そして6/26、こんどはファゴットのシュテファン・シュヴィゲルトがリッカルド・テルツォに
5人中、2人が差し替えってなんだ!!
と正直寂しい気持ちであった。

そして、曲目。こちらもかなりの変更があった。

予定 実際
・モーツァルト(U.G.シェーファー編曲):オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』のハルモニームジークより
序曲
「僕のドラベッラには」
「お手をどうぞ」
「恋は小さな泥棒」
「二組の花婿と愛らしい花嫁に祝福あれ!」
変更なし
・ボザ:スケルツォ Op.48 変更なし
・クルークハルト:木管五重奏曲 Op.79 変更なし
・ラヴェル(J.シュマイザー編曲):『クープランの墓』よりプレリュード、メヌエット、リゴードン 止め
・ベートーヴェン(M.レヒトマン編曲):弦楽五重奏曲 変ホ長調 Op.4(木管五重奏版) 変更なし
・ホルスト(K.ラムール編曲)組曲『惑星』より「木星~快楽をもたらすもの」 止め
・バーンスタイン(R.プライス編曲):『ウエスト・サイド・ストーリー』組曲より
「アイ・フィール・プリティ – トゥナイト」
「マリア」
「アメリカ」
・マランド(J.シュマイザー編曲):オレ・グァッパ
・ロドリゲス(J.シュマイザー編曲):ラ・クンパルシータ
・アブレウ(J.シュマイザー編曲):ティコ・ティコ

正直、絶対予定曲が聴きたかった。

ウェストサイドストーリーはもちろん楽しい曲なのだが、2022年制作のドゥダメル指揮ニューヨーク・フィル/ロサンゼルス・フィルのCDを聴いてしまったらもうこれがベストで、わざわざ5重奏で演奏する必要はなかったと感じた。ベルリン・フィルの無駄遣いだ。
「アメリカ」のサラのホルンのうなりは最高だった。

『コジ・ファン・トゥッテ』、ベートーヴェンは”語り口調”が単調で、息を合わせて共鳴しているような感じはもうひとつだった。

しかし、それぞれの楽器の音はなにをおいても抜群に素晴らしい。
木管フルートを生で聴いたのは初めてだったが、ブラウさんの音色は太くで柔らかい。

ヴィットマンさんのオーボエも”効いて”いる。

たまたまジョナサン・ケリーさんが予定だったのでがっかりしたが、ヴィットマンさんで不満があるわけがない。
アレクサンダー・バーダーさんのクラリネットは目立たない。しかし、しっかりと耳を傾けると超絶な技術で4人を支えている。

今回特にうれしかったのは、代打のファゴットのリッカルド・テルツォがワクワクするラインを聴かせてくれた。
あまくて伸びのある存在感抜群の演奏だ。

リッカルドはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者だそう。

サラさんは日本語も交えて明るく上手にMCしてくれて、とっても楽しくなる。
曲の合間に、ホルンの管をはずして水を取り除いて「フッフッ」としている姿が見られるのもアンサンブルならではだ。

終盤のティコ・ティコ、ホラ・スタッカートは調子の合った演奏で盛り上がった。

少し不満げで臨んだが、最後はみなさん好きになって帰ってきた。

2023年7月18日 東京文化会館小ホール

写真は東京文化会館ウェブサイト、パンフレットより

関連記事

  1. ハンガリー国立歌劇場『魔笛』

  2. MDRライプツィヒ放送交響楽団と体育会系クリスチャン・ヤルヴィ

  3. トリエステ・ヴェルディ歌劇場の「椿姫」

  4. パユ様 ソロ

  5. ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団

  6. ベートーベン作曲「レオノーレ」第1番、第2番、第3番。「フィデリオ」序曲。1つのオペラに4つの序曲の謎。

  1. ベートーベン交響曲第1番のパトロンは

  2. モーツアルト交響曲第35番「ハフナー」。ハフナー家のための曲

  3. 【新説!】ベートーベン交響曲第3番「ボナパルト」から「英雄」に変…

  4. チャイコフスキーはモスクワ音楽院の理論担当教師

  5. モーツアルトと父レオポルト

  6. 小林秀雄のモーツアルト評「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙…

  7. ベートーベン交響曲第3番『英雄』表紙。「ボナパルト」が消された!

  8. ベートーベンの弦楽四重奏曲の「ラズモフスキー」の意味

  9. マーラー交響曲第1番『巨人』。『巨人』とつけた理由は?

  10. ベートーベン 「ハイリゲンシュタットの遺書」

  1. ベートーベン作品とパトロン一覧【カテゴリー別、パトロン別に見ら…

  2. チャイコフスキー作曲のオペラ『マゼッパ』はウクライナの英雄

  3. ボロディン作曲『韃靼人(だったんじん)の踊り』もウクライナ由来。

  4. 「フィンランディア」ロシアからの独立への決意の曲

  5. ザルツブルク音楽祭 R.シュトラウス、カラヤンがキーマン。映画「…

  6. チャイコフスキー交響曲1番 「冬の日の幻想」さび

  7. ベートーベンのパトロン、ラズモフスキーはコサックのリーダー=ヘト…

  8. ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』の「キエフの大門」はウクライナ…

  9. ウィーンが「音楽の都」の理由。それはハプスブルク帝国の首都にあ…

  10. 神聖ローマ帝国の貴族がベートーベンをつくった