読売日本交響楽団。
指揮はジョン・アクセルロッド。合唱は新国立劇場合唱団。歌手はソプラノ・中村恵理、アルト・藤木大地(カウンターテナー)、テノール・小堀勇介、バス・妻屋秀和。
アクセルロッドは説明によると「巨匠バーンスタインの薫陶を受け」とあります。
あまり大柄でない身体をめいっぱい使ったダイナミックな振りぶりは確かにバーンスタインを受け継いでいるようです。
ただ。第1印象ちょっと雑かなと。
1楽章の頭はわりと大きな音での入りで、これはよいとして。指揮なのか弦なのかはわかりませんが、バラバラか?と感じる箇所がありました。
第9で一番楽しみにしているのは2楽章です。
2楽章は単純に元気よくわかりやすいだけ、という評判ですが、これが好きなのです。
ここでフルートがいかに景気よく鳴ってくれるかをメインに集中しているといっても過言でないくらいです。
読響のフルートはというと、なかなかよかったです。
音量も十分、テンポも勢いもありでナイスです。欲をいえばもうちょっと弾けてくれてもよいかなと。
頭のティンパニ―の「タン!タタン!!」がちょっとうるさかった。ティンパニーというより和太鼓のような乾いた音なのです。
3楽章はCDなどで聞くと睡魔の訪れを感じるのが常なのですが、そんなことはまったくなく、ゆっくりとたっぷりと聴かせてくれました。これは読響さんのおかげです。
さて、4楽章。3楽章からすぐに入るパターンではなく、少し間がとられました。合唱団は定位置で準備しています。しかし、ソリスト方の姿が見えないのです。不思議に思うまま演奏が進んでいき、「ジャジャジャジャジャジャ・・・・」のところにくると。バスの妻屋秀和さんが上手から、まるでオペラの場面で”求め彷徨う人”のような素振りで登場されたのです。かっこよい。そちらに気を取られていると、他の3名の方々は普通に入場されます。
コロナ対策もあるのかもしれませんが、変化があって素敵な演出だと思いました。
妻屋さん、素晴らしい。低音が響きキレもありフレーズ感も心地よい感じです。
ソプラノの中村恵理さんも迫力満点の声量で大満足です。
アルトは男性のカウンターテナーというのは初めてでしたが、違和感は感じませんでした。
合唱は非常に統一感があり美しい響きで「ああ第9っていうのはいいものね」と思わせていただきました。
時にフォルテになるとギシギシした音に聞こえるもののヴァイオリンとの調和もよかった。
(2021年12月20日東京芸術劇場)