サイトウ・キネン・オーケストラ ブラス・アンサンブル に行ってきた。
曲目は
ヤナーチェク:《シンフォニエッタ》よりファンファーレ
サン゠サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」より 終楽章
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」より
ピアソラ:《ブエノスアイレスのマリア》より
アルカディ・シルクローパー:フィガ
ガーシュウィン:《ポーギーとベス》より
ファンファーレから始まった。
しかし、迫力がいまいち。
これから始まるゾ! という感じがしないのだ。
まあまあ、これからあったまっていくのかなと心したが、どうもそうではなかった。
交響曲第3番「オルガン付き」は盛大に盛り上げて欲しいところだが、トランペットが縮こまっていて冴えない。
亡き王女のためのパヴァーヌはメロディーを味わいたかったがどうもぼんやり。
ガボール・タルケヴィさんのトランペットは一点の濁りもないきれいでやわらか~い音、これを聴きに参りました。
「ロミオとジュリエット」。これはよかった。トロンボーン、バス・トロンボーン、チューバが厚みとキレでモンタギュー家、キャピュレット家両家の不穏渦巻く感じがズンズンと届いてきた。もともとブラスがメインになるところがある曲だったのがやはりよかったのか。
《ブエノスアイレスのマリア》はまたもう一つ。
ピアソラのムンムンとした密度の濃いセクシーな感じはなかったかなと。
フィガ。これはたいへんに素晴らしくうっとりだった。
トランペットのガボール・タルケヴィさんとホルンのラデク・バボラークさんお2人がメイン。
バボラークさんのホルンは力の入っていない自然な呼吸から生まれ出るまろやかな音。
さすが元ベルリン・フィルコンビ。
複雑でも楽し気な曲を、息ピッタリな音色・ハーモニーでホールの空気を変えた。
これだけでも今日は来てよかったなと思った。
タルケヴィさんは別途、ソロなりデュオなり開いてくれないでしょうか。
つまり。
全体、とてもきれいなブラスなのだなと理解した。
ブラスということで、景気よく元気なテンションを想像していたが、そうではなく「サイトウ・キネン・オーケストラ ブラス・アンサンブル」の名のとおりあくまでもオーケストラの音なのだなと。
サイトウ・キネン・オーケストラは「せーの」で集まる楽団ということで、また今回指揮者もなくタルケヴィさんが要所要所で合図を送ってはいらしたけれど、それぞれが遠慮し合っているのか上品すぎたかなと感じた。
アンコール。これが最高によかった。
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ジョン・ウィリアムズ:スターウォーズより「王座の間」と「エンドタイトル」
菅野よう子:花は咲く
ジョー・ザヴィヌル:バードランド
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何度も合わせて演奏してこられたからなのか、大衆向けに大衆的に演奏してくれたのか不明だが、バッチリそろって、金管楽器が鳴り響く気持ちよさを味わった。
本編よりもこちらの方に満足してしまった。
全編すごかったのが、パーカッション。
奏者はN響のメンバー竹島悟史さん。
やたらと、楽器の位置を直しているな、とは思った。
最初のファンファーレではティンパニを叩き、音はよいのだけれどホールのせいなのかやけにボリュームが大きいなあと思ったのだけれど、それからが凄い。
スネアドラム、シンバル、太鼓、ピアノ、マリンバ、木琴、鉄琴、ベル、”パカパカ”などなど金管以外全てをお1人で演奏され、木琴を引きながらドラムを足で叩き、まだ残響があるうちにヒュイっと移動して次の楽器を演奏している。
これはもう曲芸的で完全に目が離せなくなった。
どの楽器も、響き・刻むリズムがイキがよく全体を息づかせていて、ワンマンショーといってもよい八面六臂の活躍であった。
特に、交響曲第3番「オルガン付き」のピアノは本当は2人で演奏するのに、お1人だったのだけれど手が4本あるのでは?と思うほど美しい演奏でこれを聴けてよかった。
今度N響を聴きに行くときは、注目しよう。
演奏:オーマンディ指揮 (Org)パワー・ビッグス フィラデルフィア管弦楽団 1962年10月7日録音
※写真はチラシより
2025年2月18日 ミューザ川崎シンフォニーホール