トゥガン・ソヒエフ指揮、NHK交響楽団演奏会に行ってきた。
曲目は
リャードフ:交響詩「キキモラ」作品63
プロコフィエフ:(ソヒエフ編)/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」
ロメオとジュリエットは場面ごとの曲が数多くあるが。
おおまかにいうと、「絶望の慟哭」「合間に顔を出す日常の陽気」「不穏」にわけられると思う。
そんなイメージをもちながら聴いた。
ソヒエフはロメオとジュリエットをバレエの曲を物語の順序ではなく、音楽組曲的に聴くことに焦点をあてた並びに替えて演奏した。
これはありがたい。ストーリーがあまりわかってなくても楽しめるからだ。
「絶望の慟哭」系
第1曲は、話の筋はさておき、まず「絶望の慟哭」系有名曲「モンターギュ家とキャピュレット家」でつかみ。
最後の曲は、第1曲と「絶望の慟哭」系の双璧をなすインパクト大の「タイボルトの死」。
演奏は。バッチリだ。
「モンターギュ家」の入りの弱い弱いところから、塩梅のよいベースが襲ってくる。そして、弦総出の大行進。
気持ち速めのテンポが心地よく、バランスもよく厚みがありキレもありこれだけでもう今日はうれしい。
「タイボルト」の聴きどころは超高速弾きだ。ヴァイオリン・ヴィオラが揃って焦って焦ってかき乱す。これをこの目でみたいと思い臨んだ。
リズム乱れずギュンギュン揃ってめまぐるしく見事で目が離せない。心臓がざわざわした。
そして、いよいよご臨終の場面(!?)は重々しく劇的にそしてきっぱりと終わる。
この曲を最後にしてくれて最高。大満足だった。
「合間に顔を出す日常の陽気」系
「少女ジュリエット」「朝の踊り」「仮面」がこれにあたる。
「少女ジュリエット」はかわいらしいメロディーやのりのいいリズムで、悲劇のなかのつかの間の陽を聴かせてくれるところ。
すばしっこく、ピチカートで楽しい弦たちの中にクラリネット・オーボエがかもしだす陰がなかなか効いているように感じた。
フルートソロはきれいだったが、もうちょっと表情があってもよかったかなと思った。
「不穏」系
口ずさめるメロディー的なところがあまりなく、楽器それぞれの音のやりとりを聴こうと思った。
メインの楽器は思いっきり鳴らして気持ちよいのだが、ほかのパートへの移り方が途切れ途切れというか、響き合いが鈍いように感じた。
メインももちろんつなぎのヴァイオリンはとてもよい音だった。
「ロミオとジュリエット」の前に演奏された「キキモラ」がうまいぐあいに呼応しあって音の波がきたので、そういった空気を期待したが、ロミジュリではそうではなく少し退屈に感じる場面があった。
今日の曲紹介。
演奏は、シャルル・ミュンシュ指揮:ボストン交響楽団 1957年2月11日,13日録音