パユ様 of レ・ヴァン・フランセ

5年ぶりに来日しているレ・ヴァン・フランセのライブに行ってきた。

曲目は
クルークハルト:木管五重奏曲 op.79
ベートーベン:ピアノと管楽のための五重奏曲 op.16
フィリップ・エルサン:六重奏曲
エリック・タンギー:六重奏曲(委嘱新作)
プーランク:六重奏曲

フランスの風、その音楽は

レ・ヴァン・フランセは日本語でフランスの風。
“フランスのエスプリを受け継ぐ木管アンサンブル”と紹介されている。
“フランスのエスプリ”とはいったいどのような音楽なのだろうか。

ジルベール・オダン

パリ高等音楽学院出身

強く迫ってきたのが、クルークハルトでのバソンの際立つメロディーのライン。
バソンは「ボッボッ バフフ」と底上げの役割のイメージをもっていたが、オダンさんのバソンはクリアに流れるようにくっきりと聞こえ、大黒柱的存在。
その大黒柱の周りを、パユさんのフルートとルルーさんのオーボエが絡まり合いながら遊んでいる。

フランソワ・ルルー

フランス・クロワ生まれ。

ルルーさんは縦笛か!?というくらい自由自在に明瞭で弾む音を連射してくる。
吹いている時以外はニコニコと陽の気を全体に発散し、会場のボルテージもアップ!

各パート別々でありながら、強>弱の息はピタリでグルーブ感がホールを包みドキドキする。

煌めきのある音が軽々と繰り出され、このエリアだけ少し気圧が高いのではないかと思うほどだ。

ベートーベンは、フルート以外の5重奏

ラドヴァン・ブラトコヴィチ

クロアチア・ザグレブ生まれ

ブラトコヴィチさんのホルンはうっとりする。
「ホルンは当然木管ですもの」と存在感をあまりださない場面もあるが、この曲では金管的ながら尖らないふくよかな音にうっとり聴き入った。

ポール・メイエ

フランス・アルザス生まれ

メイエさんのクラリネットはたっぷり。
クラリネットってこんなに大きな楽器だったのかと。
そこから歌うように自然な音がたっぷりと響きわたる。

プーランク6重奏 CDで聴くのとはまったく違う

木管楽器の5人の後方にピアノが配置されている。

エリック・ル・サージュ

フランス・エクサンプロヴァンス生まれ

サージュさんのピアノが凄い。
柔らかなタッチで10本の指が流麗に鍵盤上を滑り、泉が湧き出でるように滑らかに立体的に音が伝わってくる。

フォルテの時は、大波だ。
そのビッグウェーブにサーフィンのように各木管パートが乗り、客席に打ち寄せてくるような迫力だ。
これはCDでは味わえない。

パユ様のフルート 最高でした

エマニュエル・パユ

スイス・ジュネーブ生まれ

アンサンブルではソロやデュオとはまた違った音色を聴くことができた。
他パートを支える時は低く息を抜かすような音、キメの時はキラっと鋭く伸びる音。
1つのフルートからなんて多彩な音が奏でられるのだろう。

びっくりしたのは、今回のための委嘱新作というエリック・タンギーの曲。
パユ様の奏法をまた新しく開拓したような、唇をリッププレートを滑らせて「フヒュッ」と吹く音。
かっこよく素敵だ。

サイン会があった

サイン会が開催された。
もちろんCDを購入し列に並ぶ。
5人の方みなさんがサインをしてくれる。
この方々はどれだけ音楽を愛しているのだろう。

演奏会本番前には公開リハーサルも行われたようだ。

この恩恵はもはやファンサービスということばでは表しきれない。
感動で寿命が延びた気がする。

写真©wildundleise. de Georg Thum 2014.JAPAN ARTSウェブサイトより。
(2023年3月12日 三鷹市芸術文化センター風のホール)

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