エマニュエル・パユ&ベルリン・フィルの仲間たち に行ってきた。
曲目は
モーツァルト:
フルート四重奏曲第3番 ハ長調 K.Anh.171/285b
ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423
フルート四重奏曲第1番 ニ長調 K.285
ヴィラ=ロボス:アソビオ・ア・ジャート(ジェット・ホイッスル) ※フルート&チェロ
ドヴォルザーク:四重奏曲「アメリカ」 ヘ長調 (原曲:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96)
パユ様のモーツアルトが聴けるとは、しかもベルリンフィルの弦の方々と。
なんという恵でしょうか。
モーツアルト:フルート四重奏曲第3番、第1番
衝撃的に煌めく音だ。
磨き抜かれた究極の響きがこれなのだ、という音に立ち会えた気分。
弱、強、短、長、低、高、微妙なテンポ。そのつなぎ方が百花繚乱。
モーツアルトはわかりやすいメロディーだが、繰り返し部分でさえ変化させていて、いったい表情づけがいくつあるのだろう。
かわいらしい曲のはずだが生命力みなぎり、彩られた音が活き活きと転がっている感じ。
パユの宇宙でモーツアルトも新生モーツアルトとして甦ったのだ。
モーツアルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲
ヴァイオリンはマヤ・アヴラモヴィチさん。
1stヴァイオリンの方だ。
ヴィオラはホアキン・リケルメ・ガルシアさん。
マヤは芯から強い音、ホアキンはまろい。
お二人が重なり合い絡み合いながら・・と期待したところだが、パラレルに進行したように思った。
ヴィオラがメインのところはもう少し押し出してもよかったのかなと思った。
タイプの違いを聴くことができ、これらが合わさるとあのオーケストラサウンドが生まれるのだなと感じ入った
ヴィラ=ロボス:アソビオ・ア・ジャート
フルートと、ダーヴィット・リニカーさんのチェロの二重奏。
うってかわって現代音楽チックなメロディーはつかみにくい曲。
ジャズセッションのような掛け合いで、どれだけの技巧が繰り出されているのかもはやよくわからない。
ダーヴィットのチェロは優強く深くしなやかで素敵。
最後はパユのお家芸、突風が吹き抜けていくような奏法、パンフレットによるとジェット・ホイッスル奏法というそう。
それはもう超音速ジェットであった。
ドヴォルザーク:四重奏曲「アメリカ」
主旋律フルート、時々ヴィオラ、チェロという分担。
メロディーがよい曲は、いろいろできるのだな。
時々の旋律ではあるがホアキンの歌うメロディはいい。
ダーヴィットの深く包み込むチェロが効いている。
フルートはさまざまなパートを吹いていて、低音もまたたっぷり響く。
愛と希望に満ちあふれたドヴォルザークであった。
満喫。
サイン会があった!
日本ツアーで立て込んでいるであろうと思っていたが、まったく疲れをみせることなくお一人お一人に丁寧に対応されている。
サインなさるのはパユお一人であるが、販売CDはほぼパユ演奏のものなのでしかたがない。
彼の魅力はハンサムなだけではない。私たちもそこまでアホではない。
自らが最高の演奏を楽しみ、聴衆も楽しみ、共に音楽の喜びを通わせようという真心につかまれるのだ。
※顔写真はBerliner Philharmonikerウェブサイト、アイキャッチはチラシより
2025年7月7日 浜離宮朝日ホール