チャイコフスキーは交響曲を7曲作曲しています。
最後の曲が第6番です。
西暦 | 年齢 | 曲名 |
1866 | 26 | 1番「冬の日の幻想」 |
1872 | 32 | 2番「ウクライナ」 |
1875 | 35 | 3番「ポーランド」 |
1877 | 37 | 4番 |
1885 | 45 | マンフレッド |
1888 | 48 | 5番 |
1893 | 53 | 6番「悲愴」 |
『悲愴』の由来
チャイコフスキーは第6番を完成させ、自分の指揮で初演した9日後に亡くなっています。死因はコレラが原因とか、LGBTだったチャイコフスキーがある貴族の家族と関係を結んだことで貴族が自殺を強要したのではないかなど、諸説あり事実はわかっていません。
ですが、もともと病にかかっていて体が弱り果て自ら「これが最後、その悲愴感をこめて作ったのである。だからタイトルは悲愴にするべし」としたわけではないことは確かなようです。
説としては、楽譜を出版社に渡すことになっていた弟が初演の後「『悲劇』がいいんじゃない?」と提案したら同意せず『悲愴』を提示したら賛成したようで楽譜の表紙に書き込んだ。しかし、その後書き込んだ文字をペンで消して「この交響曲のタイトルは謎である」と言った、という話があります。
それでも出版元はタイトルがあったほうがよいと判断したのか第2版からは『悲愴』をつけて販売するようになったということです。
異常に盛り上がる3楽章
この有名で名曲すぎる第6番のタイトルがなぜ『悲愴』なのかということについては「よくわからない」というのが事実のようですが、1楽章で出しを聞くと確かに”悲愴感”漂っているように感じます。
そして、この6番の特徴は3楽章が最高に盛り上がり4楽章が尻切れトンボ的に終わることです。
通常交響曲はなんといっても4楽章が最高潮に盛り上がり、最後「ジャジャーーン」で拍手喝采となるのがお約束です。
ところが6番はなぜだか3楽章が聞きどころです。
ファンファーレ的にかっこよく、特に終盤は弦楽器、金管楽器がキレっキレ、フルートの大音量。
演奏によっては、3楽章終わったところでたまらず大拍手の時間がある場合も見受けられるほどです。
『新橋サラリーマン哀歌』
そんな第6番を『新橋サラリーマン哀歌』として聞くと完全にしっくりきます。
1楽章 ~ああ、仕事がつらい~。
働き方改革だなんだいったって、仕事の量が減らないのに何言ってますの? 景気がよくてバリバリ働いていた時もありましたけど、現状手抜くしかあらへんわ。パワハラ、セクハラ人間関係ももうややこしすぎますわー。
2楽章 ~同僚からの誘い~。
「最近元気ないじゃない、軽く行きましょうや」と同僚が飲みに誘ってくれました。新橋ガード下で、とりあえずビールでやきとり。日ごろの思いを語り合いホッピーが進みます。
3楽章 ~俺は天才だ!~
ホッピーが体に充満すると、勇気100倍湧いてきます。「そうだ、自分はここまでやってきたではないか。これから会社が驚くようなスゴい企画も持っている」「これも、あれも全部イケる」「そうだ、俺は天才だぁーーー」と気分は絶好調です。
4楽章 ~あれ?昨日はなんだっけ。うう、二日酔いでぼんやりする~
翌日。朝目覚めると、そうです。現実に戻っているではありませんか。昨日はなにか素晴らしいアイデアが浮かんだと思ったけれど、特段新しくもないし、おもしろくもない。やはりというか飲み過ぎによる頭痛、胃もたれで具合悪い。それでも今日もタイムカードを押しにフラフラと出勤するのでありました。