フォルクハルト・シュトイデ芸術監督 トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン2026 に行ってきた。
曲目は
ベートーヴェン:ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲
メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調「イタリア」
ベートーヴェン ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏
ピアノは阪田知樹さん

チェロはメンバーでもあるペーテル・ソモダリさん

そしてヴァイオリンはフォルクハルト・シュトイデさん

冒頭は低弦、コントラバスがじわーっときて、ヴァイオリン8人が割とゆっくり確認しながらのようにゴリゴリとリズムをとって分厚くスタートした。
満を持して3重奏の登場だ。
「さあ 幕が開く!」といった高揚感のある曲。
演奏:フェレンツ・フリッチャイ(指揮)、ゲザ・アンダ(ピアノ)、ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)、ピエール・フルニエ(チェロ)。ベルリン放送交響楽団。1960年5月~6月録音
今日のシュトイデさんは、いつものように強いのだがピッチピチでスコーンと抜けるような音。
春の花粉も晴らす軽快さがみなぎっている。
シュトイデさんかっこよいです。
ピアノは粒の小さめな軽やかに転がる音。
滑らかにポロポロポロ~と繰り出され、三重奏を華やかに飾っているようだ。
チェロはアクを消した音。
主張は不要とばかりにヴァイオリンとポロポロ~ピアノのバランスをとっているのは間違いなくこの方。
これが、第3楽章で特に効いてくる。
3楽章のメインテーマをチェロが主導するところは、あたかもヴァイオリンのようにまっすぐな音で、乗ってくるヴァイオリンと調和して音の拡がりが倍々だ。
メンバーのヴァイオリンは第1ヴァイオリン4人、第2ヴァイオリン4人の8人。
この方々のスクラム感がすごい。
シュトイデさんをサポートしようではなく、俺たちで仕掛けてやってやろうぜといった感じのエネルギッシュな演奏で、よい意味で遠慮のないまとまりでワクワクした。
1曲目なのに誰も拍手をやめない。
メンデルスゾーン 序曲『フィンガルの洞窟』
フィンガルの洞窟はスコットランドのスタファ島の海に面した山に空いた洞窟。

曲の冒頭は、この大きく空いた洞窟の入口に波が流れこむ様子なのかと想像させる「ムニュムニュムニュムニュ」という不思議な音で、どのように演奏されるとこのような音になるのか。
ファゴットがメロディーで第1ヴァイオリンが引き継ぐが、ポイントは第2ヴァイオリンとチェロだ。
この方々が小刻みな技で幻想的で不思議な雰囲気を醸し出しているのを目撃した。
演奏:カラヤン指揮 ベルリンフィル 1960年9月録音
洞窟に入ってから(?)流れるような弱い音、空気が吹き抜けていくような抑揚、低弦のゆったりした運び、弱い音からスピード感をもちながらの勢い、チェロのインディージョーンズのような洞窟感、などなどシュトイデさんのプランに全ピースが隙間なく組まれている。。
クラリネットの第1、第2の二重奏が逸品であった。
音を超え、空気が同じで美しい。
メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」
大好きな曲である。
1楽章 聴きどころその1は冒頭。
シュトイデさんの合図で木管がポポポポポポ ポポポポポポと始まる。
急ぎ弦が合流しバランスよくキラっとスタートだ。見事。
テンポは超速。
動画でいうと1.25倍!? 早く終わって早く帰りたいのか!? というくらい。
なのだが、誰も乱れない置いていかれない、どの音もこぼれていない。
アクセント、表情が緻密に織り込まれていてスーパースポーツカーに乗っているようでじんわり汗をかいてきた。
演奏:セルジュ・チェリビダッケ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1950年1月20日録音
2楽章 陰鬱な楽章と認識していたが、今日は違う。
イタリアの太陽を浴びてちょっと木陰で休んでいます、的な爽やかな感じ。
ここはコントラバスを聴きたかった。
ヴィオラ、ヴァイオリン、フルートが主メロディーを渡していくなか、ひたすらリズムをボンボン ボンボンと打っているのがかっこいい。
ブラーデラーさんと女性のアンナ・グルッフマンさん、出すぎないのだが確かな存在感、まろやかな響きが最高です。
3楽章 切なく美しいメロディー、これに表情が繊細について、しみる。
聴きどころはホルン。
ヤネツィックさんとヤン・ヤコヴィッチさん、メレンゲのように柔らかく優しい音。こんなホルンを聴けるのはここだけ。
演奏:セルジュ・チェリビダッケ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1950年1月20日録音
4楽章 「メンデルスゾーン版運命」な感じの曲。
激しい出だしに、フルートの速吹きに惹きつけられ、劇的な弦、木管とここも速いがまず全員が体内に同じテンポを設定しているかのように乱れ無し。
強弱、軽妙なアクセント、バシっと合わせるところ、勢いつけるところふっと抜くところ、指揮者がいないが呼吸が同じで、ボリューミーに盛り上がった。
シュトイデさんキレッキレでございました。
アンコールをやってくれた。
ヨハン・シュトラウス2世 芸術家の生活
コンサートマスターのミラン・セテナさんが「これで終わりです」をまず言ってから始まる。
ウィンナワルツ、この曲も大好き。ズ チャチャ ズ チャチャで幸せ。
カーテンコールでは「もうアンコールはやらないよ」の強い意思表示で全員一列に舞台のカーブに沿って並ばれた。かっこよすぎ。
トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーンは、曲が一般人フレンドリーでそれを最高峰の演奏で聴かせてくれるので、本当に楽しい。
※写真はチラシより
2026年3月30日 サントリーホール
