曲目
| 曲 | 作曲 |
| 序曲 第2番 | ファランク |
| ピアノ協奏曲 | グリーグ |
| 交響曲第3番 「英雄」 | ベートーヴェン |
公演日時・会場
2026年7月17日、武蔵野市民文化会館大ホール
イル・ド・フランス管弦楽団とは
イル・ド・フランスはパリを中心とした地域を表す。
イル・ド・フランス管弦楽団はフランス国立の管弦楽団で、フランスの首都圏から世界に「クラシック音楽は、誰もが身近に楽しめるものであるべき」を信条に活動している。
創設は1974年ということなので、50年の歴史をもつ。
今回が初の来日だ。
ファランク 序曲 第2番
ファランクが作曲した序曲は第1番と2番の2曲ある。
序曲といってもオペラの序曲ではなく、コンサートの序曲として作曲されたもの。
さて、演奏は。
軽やかで明るさを放つ高気圧サウンド! 楽しい!!
曲の不穏な空気をかもしだしての入りもなんのその 弦のふわふわふわっと交わったハーモニーが素敵。
早々につかまれた。
グリーグ ピアノ協奏曲
ピアノは角野未来さん。角野さんは1998年生まれの27歳、角野隼斗さんは3歳上の兄。なんてプラチナファミリーなのだ。

1楽章 とにもかくにもこの曲はやたらとこの部分だけ超有名な、ピアノ第一声がキモである。
どんな音なのか、数日前から楽しみにしていた。
ティンパニの轟のあとの、「ジャン!!」からの。
うううーん ボリューム不足か・・・。
パキーンと届いてこず、改めて耳の準備をした。
演奏:(ピアノ)アルトゥール・ルービンシュタイン:アンタル・ドラティ指揮 RCAビクター交響楽団 1949年8月22日録音
最後に出てくる同様のところはガシっと決まってよかった。
初っぱなは難しいのかな。
2楽章では情念や抜けなどの表情もあってもよかったかなと感じた。
ソロで弾くときのボリューミーなところは十分聴きごたえがあり、小さな音で指揮者を見ながら合わせる時はとてもきれい。
最後オーケストラマックスだと力負けは致し方なしか。
アンコール
アガーテ・バッケル=グロンダール:5つの幻想小曲集 Op.45 より 第3曲「夏の歌」
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
演奏会開始15分前に、指揮者のユージン・ツィーガンさんによる本日の演奏曲についてのレクチャーがあった。

ユージン・ツィーガンさんは父親がアメリカ人、母親が日本人とのことで、日本語でのお話。
1981年生まれ、44歳。キビキビとバイタリティーみなぎって登場された。
ここで「英雄」について”指揮者は音楽をテンポでやりがちである。指揮棒はそのためにある。だが、フランスのオーケストラは歌いがうまい。なのでそこを活かした演奏をする”と説明された。
「英雄」はベートーヴェンがナポレオンに捧げようと作曲した曲。
1楽章の出だしは、2回の「ジャン」があるが、これはツィーガンさんによると、ナポレオンが自分が皇帝になるために倒さねばならなかった人物2人を、斬っている様子なのだという。
そしてその後、スムーズに皇帝への道を進んでいく、というお話だった。
演奏:ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 チェコ・フィルハーモニ管弦楽団 1959年3月録音
演奏が始まって。
なるほど!! こういうことなのか。と。
通常一呼吸で終わる「ジャン」が、長く、ためて、太く、クレッシェンドが効いているのだ。これが2回。
テンポ大無視、歌うことに重点が実演され、いきなり衝撃を受けた。
その後もリズムは不定期で、聴かせるところは速度を落として強調し、ハーモニーが立体的に立ち昇る。軽く進めるところは速めのテンポに戻したりで、テーマパークのアトラクションで「次何が出るの? いつ出るの?」とどきどきしているような感じで汗ばんでくる。
ソロを聞かせるところはゆっくりたっぷりさびが聴ける。時間さえ止めそうだ。
2楽章は葬送曲。ベースとチェロの低音がたーーーーっぷり響き葬送の曲というより葬送の場にいるような感じだ。
3楽章は狩り。ここは通常運転。
ホルンがサイズ感よく鳴っていて気持ちよかった。
光がまたたくように優しく合わさったハーモニーは、単にケレン味を出しているわけではないことが完全に確認できる。
4楽章は、レクチャーによると、ベートーヴェンはピアノが得意で特に即興でかなう人はいないほどだったそう。
その即興を積み上げて作られたクリエイティブな曲とのこと。
そのクリエイティブは演奏でもさらに際立った。
普段は速度に紛れて聴き落とす音もくっきり聴かせてくれ、ソロではないが奏者にスポットを当てる演出も。
ピチカートもはっきりくっきり。
速度をあげてハイテンションにもっていくのではなく逆に、丁寧に草の根かき分けてルーぺで聴きどころをほらほらと見せて(聴かせて)くれたような演奏で、とても気に入った。
創設50数年という比較的新しい楽団ならではの「誰もが身近に楽しめる」クラシック音楽なのだなと思った。
第5もすぐに再来日してやって欲しい。
ベートーヴェン全部やって欲しい。
アンコール
ブラームス ハンガリー舞曲第5番
ノリノリの曲であり、ピタっと止めたり、強弱を強調したり、速度を変えたりで盛り上がる曲であるが、本編が本編だったたけに、逆におとなしく感じるほどであった。
もちろん演奏は最高潮に楽しく、ユージンさんは客席を向いて手拍子で参加させてくれ、もうユージン・ツィーガンのイル・ド・フランス管弦楽団が大好きになった。
※写真は武蔵野文化会館ウェブサイトより
