ヴェローナ弦楽四重奏団、メンデルスゾーン、ヤナーチェク、ベートーベン

ヴェローナ四重奏団、メンデルスゾーン、ヤナーチェク、ベートーベン に行ってきた。

曲目は
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」
ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー 第2番」

特徴の違う3本立て。どのような弾き分けがされるのか。楽しみに行った。

メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第1番

ハーモニーが優しい。
4種の楽器が同時に呼吸しているよう。
速さ、強弱を独特に変化させる部分があり、ミクロの差も生じさせずに息がピタリだ。
そのたびに小さな幸せがふわふわと舞ってくるようだ。

メンデルスゾーンにしては暗さのある曲だと思っていたが、まったく飽きることがなかった。

ヤナーチェク 弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」

トルストイ作『クロイツェル・ソナタ』をモチーフに作曲された曲とのこと。
侯爵が自分の妻が自分の親友と浮気していることに気づき、悩みながらも殺害した話を告白する物語。

すごい。
不協和音の大洪水。
爪でガラスをひっかくような音、それを20人くらいがひっかき倒しているような不快さ。
気持ち悪い不協和音を、これまた律儀にきめ細やかにつきつめて追い込んでくる演奏。
うきゃーーと頭に響き虫歯が痛んだ。

演奏会後のサイン会で2ndヴァイオリンのドロシー・ローさんと少しお話できたが、彼女は「クレージー」とおっしゃっていた。
やはり演奏されている方も同じなのだなと納得した。
ドロシー・ローさん

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー 第2番」

ヤナーチェクからうってかわって、安心のベートーヴェン。
てらいなく通し、ほどよくまろやかなチェロで美しいハーモニーが届いてくる。
チェロのジョナサン・ドーマンドさん

ヴィオラが、ヴァイオリンとチェロをつないでいるのを発見しながら、浸って聴いた。
好きな4楽章の1stヴァイオリンもしっかりとしてみずみずしい。ご機嫌に聴いた。
ヴァイオリンのジョナサン・オンさん(左)とヴィオラのアビゲイル・ロジャンスキーさん

全体。ヴェローナということで、ラテンの軽やかさをイメージしていたが、よい意味で違った。
1stヴァイオリンが尖ったりチェロが暴れたりしない、均整のとれたチームワークのよい清潔感溢れるカルテットだと感じた。

アンコールもやってくれた。
これが、ガラリと変わった異種競技。
ジャズっぽい曲で、ノリノリでかっこよい。
このようなバージョンもあるのだな。
次はこちらを多めなプログラムで聴いてみたい。

会場で購入した「リゲティ 弦楽四重奏曲コンプリート」


リゲティは初めて聴く。
弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」
弦楽四重奏曲第2番
アンダンテとアレグレット

自分ではみつけない曲と出会えるのもコンサートの醍醐味。


本日演奏の曲ではないが、ベローナ四重奏団のYouTubeにベート―ヴェン四重奏曲1番があったので、貼ります。

※アイキャッチ写真は武蔵野文化会館ウェブサイトより

2025年2月28日 武蔵野文化会館小ホール

関連記事

  1. パユ様 & アレックス・バックス

  2. ベルリンフィル・ハーモニー管弦楽団 『英雄の生涯』

  3. トヨタ・マスター・ プレイヤーズ、ウィーン 2025

  4. アンドリス・ネルソンス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ショスタコーヴチ9番、ドヴォルザーク7番

  5. ストラディヴァリウス サミット・コンサート2023

  6. ベートーベンのパトロン、ラズモフスキーはコサックのリーダー=ヘトマンの息子


Warning: Undefined array key "show_date" in /home/publishing/magazine7.net/public_html/classic/wp-content/themes/gensen_tcd050/widget/styled_post_list1.php on line 59
  1. チャイコフスキーの妻

  2. モーツアルト死の謎。わかっていること。いないこと。

  3. チャイコフスキーのバレエ音楽。「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「…

  4. ベートーベン交響曲第1番のパトロンは

  5. ベートーベン「不滅の恋人への手紙」。不滅の恋人は誰か。

  6. ベートーベン交響曲第3番『英雄』表紙。「ボナパルト」が消された!

  7. 【新説!】ベートーベン交響曲第3番「ボナパルト」から「英雄」に変…

  8. チャイコフスキーはモスクワ音楽院の理論担当教師

  9. ベートーベンのパトロン 時代による変遷

  10. モーツアルト交響曲第35番「ハフナー」。ハフナー家のための曲


Warning: Undefined array key "show_date" in /home/publishing/magazine7.net/public_html/classic/wp-content/themes/gensen_tcd050/widget/styled_post_list1.php on line 59
  1. ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』の「キエフの大門」はウクライナ…

  2. チャイコフスキー交響曲1番 「冬の日の幻想」さび

  3. モーツアルトの生まれたザルツブルクは「ザルツブルク市街の歴史地…

  4. ボロディン作曲『韃靼人(だったんじん)の踊り』もウクライナ由来。

  5. チャイコフスキー交響曲第2番『小ロシア』改め交響曲第2番『ウクラ…

  6. モーツアルト交響曲第36番の「リンツ」38番の「プラハ」はハプスブ…

  7. ザルツブルク音楽祭 R.シュトラウス、カラヤンがキーマン。映画「…

  8. ウィーンが「音楽の都」の理由。それはハプスブルク帝国の首都にあ…

  9. ベートーベンのパトロン、ラズモフスキーはコサックのリーダー=ヘト…

  10. ベートーベン作品とパトロン一覧【カテゴリー別、パトロン別に見ら…