アンサンブル・ウィーン=ベルリンが来日しています。
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの木管5重奏団です。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団から
オーボエ:ジョナサン・ケリー
ホルン:シュテファン・ドール
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から
フルート:カール=ハインツ・シュッツ
クラリネット:ゲラルド・パッヒンガー
ファゴット:リヒャルト・ガラー
大変大変豪華な面々でございます。
曲目は
リゲティ作曲:6つのバガテル
ミヨー作曲:ルネ王の暖炉
ロッシーニ作曲(シェーファー編):歌劇『チェネレントラ』によるハルモニームジーク より
・序曲
・アリア「そう、誓って彼女を見つけ出す」
・カヴァティーナ「わが子孫なる娘たちよ/風の音楽」
・フィナーレ
ニールセン作曲:木管五重奏曲 op.43
メンデルスゾーン作曲(シェーファー編):弦楽四重奏曲第5番
ご登場
My楽器を手に袖から舞台に歩き出てくる姿がもうすでにかっこよすぎで興奮です。
配置は向かって左から、フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネットの順です。
初、カールのフルート
カール=ハインツ・シュッツはウィーンフィルのソロ・フルート奏者、45歳のイケメンです。
カール=ハインツ・シュッツ
たびたび演奏会の告知をみかけていましたが、聴くのは初めてでした。
ワンフレーズで、ふぅわ~~と柔らかな空気に全身がつつまれそのまま浮いていきそうな素敵な音色、それでいて強いところはやんちゃに攻め、うっとりびっくりでした。
ピッコロに持ち替えた時もまた、小さな小さな光の粒がキラッキラッに弾けるようなこれぞ”マジックフルート”と聴き入りました。
ジョナサン・ケリーさんのまっすぐに澄んだ音色に心躍りつつ、フルートの躍動に浸っていたものの、ふと全体をと思った時にちょっとあれ?と。
バランスなのか”重奏感”がもう一つ迫ってこないように感じたのです。
もちろん、お一人お一人の音は研ぎ澄まされて上手すぎるのですが、なにかお互い合わせることに丁寧すぎるというか、こじんまり堅苦しいというか。
歌劇『チェネレントラ』は楽し気に聴きたいところでしたが、これもつつがない感じに。
ファゴットってこんなに心地よい音なのかとリヒャルト・ガラーさんの生ソロで発見。
キーを操作するコトコトという音まで聞こえ、どんだけ息が必要なのかなと思いながら目でも楽しみました。
リヒャルト・ガラー
ここで前半が終了。
後半に期待という気持ちでした。
ジョナサン・ケリーのイングリッシュホルン
後半の最初は、ニールセン・木管五重奏曲です。
この曲は第3楽章でサプライズ(というかご存じの方にとってはあたりまえのことなのですが)でケリーさんが急にイングリッシュホルンを吹いていらっしゃるではありませんか。
ジョナサン・ケリー
そして、わかったのです。
イングリッシュホルンになった時に全体の輪郭がはっきりしたといいますか、まとまった感じがしたのです。
イングリッシュホルンはオーボエよりも太く響くので存在感が出てバランスが合ったのではないか、と。
初のカール・フルートに意識をもって行かれていましたが、ジョナサン・ケリーびいきとしてはちょっとフルートがオーボエにかぶさってしまったのかな? とも思ったのです。
メンデルスゾーン木管五重奏曲
メンデルスゾーン・弦楽四重奏曲、これは素晴らしかったです。
木管五重奏曲のためとしか思えないほどよい曲でした。
クラリネットにファゴットが合わせ、ホルンを乗せてオーボエが走るといったようなパートパートが個性的に奏でられていて楽しかった。
くぐもった音バージョンより、こちらの方が断然好きです。
ゲラルド・パッヒンガー
今回ホルンが1/5に徹し、シュテファン・ドールさんの思い切った”鳴り”を聴くことができなかったのが少し残念でしたので、今度はぜひソロでの演奏会もして欲しいと思います。
シュテファン・ドール
写真は株式会社ヒラサ・オフィスウェブサイトより
盛り上がったアンコール
アンコールを2曲も演奏してくれました。
・ドヴォルザーク(シェーファー編):スラブ舞曲集第2集op.72より第7番
・イベール:木管五重奏のための3つの小品より第1曲アレグロ
軽々とした息ピッタリの演奏に、会場全体もノリノリで拍手喝采、正直本編よりも盛り上がったのでは、と思います。
「曲の構成はわかりやすいのも入れていって欲しい」と思っていましたが、やはりみなさんもそうなのかと納得&ホっとし、全体大満足でした。
(2022年9月30日 紀尾井ホール)