クリスティアン・ティーレマン指揮、ウィーン・フィル、ブルックナー交響曲5番 に行ってきた。
曲目は
ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105 (ノヴァーク版)」
ブルックナー:交響曲第5番
ティーレマン大王の大フォルテを聴きに来た。
1楽章:楽しみにしていた聴きどころは3つ。
・わかりやすいメロディーその1 ここでブラスのジャブがくる。
ブラスは明るめは響きで、テンポはわりとあっさりだ。入る休符も長くなかったように思った。
演奏:エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1959年3月12日録音
・わかりやすいメロディーその2 さーっと、流れるようなチェロと、フルート、クラリネットのやりとり。そして、ブラス。開始後5分くらいですでに密度が濃い。
・終盤の大フォルテ 舞台向かって右からはトロンボーン、チューバが歯切れのよい強い音で容赦なく会場の空気を割り、左からはベースが柔らかいながらも迫力感満点の音量で並走。
ベースはすごい、宇宙の神だ。
ティンパニーが燃料注入という感じで、もうクライマックスであった。
全体の厚みはすごいのだけれど、テンポよくキレもあって重くなかった。
2楽章:ヴァイオリンを聴く。
ヴァイオリン軍団が思いっきりべたーーっと量感を出してくるわけであるが、余裕に満ちて音が広がり続け、台風の雲が無限に湧いてくるようだ。
3楽章:かわいらしさが楽しみ。
わ、かわいい!
ワルツがやはりウィンナ調で超素敵。
ブルックナーもウィーンフィルにかかるとこうなるかととても楽しかった。
繰り返しも何度も聴けて堪能した。
4楽章:覚悟を決める。
ティーレマン大王のブルックナー5番第4楽章がついにきた。
ド迫力。
チューバがラスボス。チューバ1本でスケールが1次元アップする。
いつもは控え気味なホルンも集団でまろやかかつ強い音色で存在感が光る。
ヴァイオリン、ヴィオラのマイクロファイバー的やわらかくきれいな音が際限ないボリュームで注がれて、全体が寸分の狂いなく一体化してもう最高潮である。
オッテンザマーさんのクラリネットは彩度の高い音色で、重いブルックナーのなかでもクリアに響きわたり一服の清涼剤といった感じだ。
休憩なしの約1時間20分。ティーレマンはエネルギーほとばしりの指揮ぶりで聴いているほうものめりこんだ。
楽章の間は溜息やらせきやらでどよめく。
帰路も音のうねりの中にいて遊泳しているようで足元がおぼつかない。
帰宅しても音圧が脳に吸着していた。
すごかった。
※写真はチラシより
2025年11月15日 サントリーホール
