神尾真由子&萩原麻未デュオ・リサイタル に行ってきた。
曲目は
L.v.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調「クロイツェル」 Op.47
E.エルガー:愛のあいさつ Op.12
F.クライスラー:愛の悲しみ
F.クライスラー:中国の太鼓
S.ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34
N.リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
J.マスネ:タイスの瞑想曲
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」
クロイツェル出だし「優しい~音」で今日はこんな感じなのだなと思ったら。
強くなるところで一転。
ガリガリガリといったような野性み溢れる音が攻めてきた。
1楽章のピチカートがドでかい音でびっくり。かわいらしく弾くのではなく、思いっきり最大限弦を引っ張っていて、会場も少しざわめくくらいだ。
2楽章のver1の萩原さんのピアノは神尾色をいったん落ち着かせるように清らか滑らかだ。
神尾さんは強弱、スピード、音色を大胆に変化させさまざまな表情を繰り出しマンネリ感とは無縁だ。
弱いところでは柔らかくきれい、高音は澄みきった正確に伸びる音であるのだが、強いところでは野太く、ノイズのような音も入れてくるなど「きれいなだけじゃない」ヴァイオリンの奥深さを披露してくれているように感じた。
ときに硬く力ずくっぽく「これでいいのかな」という部分もあったが、これがストラディバリウスの音なのかとも思った。
3楽章のピアノとヴァイオリンの掛け合いもお2人の息がぴったりで、萩原さんが暴れる神尾さんを安定して包み込んでいる。
今日は萩原さんはその役に徹しているようであった。
愛の悲しみ、中国の太鼓、ツィゴイネルワイゼン
後半は、楽しい小曲集。
ドレスを着替えてこられた。前半は神尾さん赤、萩原さん黒系。後半は神尾さん薄い水色(?)、萩原さん白。
とっても素敵。
愛の悲しみは悲しみで沈んでいるというより荒くれる悲しみのようで新鮮だった。
中国の太鼓は勢いがまさにこのお2人にぴったりの選曲でノリノリで聴いた。
ツィゴイネルワイゼンはすごかった。前半の静かに聴かせるところも結構な押しでドスが効いてさえいるようであった。
後半、技巧披露のところは疾走感のなかにも、間違いのない技術と表情でしっかり聴かせてくれた。弓と指とがどうなっているのかとオペラグラスでよーく見たが、ちょっとわからなかった。
この曲が神尾さんで聴けてよかった。
個性バリバリのヴァイオリンと、それを生かして流れをつくるピアノのナイスデュオであった。
アンコールを2曲やってくれた。
グルック:メロディ
そしてそして、超絶技巧といえばおなじみのバッツィーニ:妖精の歌。
まじかーーー、これが生で聴けるのかーーーー。
「熊蜂の飛行」の速弾きでびっくりしていたが、この曲のびっくりはさらに超えている。
惜しげないハイスピードに乗せキレありボリュームありでしかも何気ない。
うわー、今日来てよかったです。
※写真は武蔵野文化会館ウェブサイトより
2025年12月11日 武蔵野文化会館大ホール
