クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団、サンサーンス、ベルリオーズ

クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団、サンサーンス、ベルリオーズに行ってきた。

曲目は サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」
ベルリオーズ:幻想交響曲

大有名曲の2本立て、なんと豪華なのだ。

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」

マケラはかっこいい。
軽やかに颯爽とし”自発光”している。
自発光はそのもの自体が発行しているかのように煌めいてみえるという意味でHey! Say! JUMPの山田涼介がそう表現される。
マケラはまさにそれ。
長身・長い手足を存分に活かし、華麗に若々しく力強くスティックを振っている。

自発光のマケラの光を浴びた団員の方々が伸び伸びと奏でている感じ。
ド直球な竹を割ったような素直な音がパンパンと出てくるのだ。
弦の弱音からフォルテへのつなぎはちょっと雑かなという感じで、まとまったハーモニーはもう一つであったが、そもそも合わせようと思っていないのか? 
なんだか自由だーーーーーっ。
そして、各自聴かせどころは思いっきり遠慮なくぶつけてきて大迫力だ。
各パートが違うリズムでうごめきあう箇所はとても立体的。

さて。オルガン。
重厚ではなかった。不気味な感じではなく爽やかなオルガンであった。
楽しみにしていたピアノの2人弾き。確かに2人で弾いている、そしてきれい。

ベルリオーズ:幻想交響曲

1楽章 出だし。うってかわって、弦の繊細な微音がふわーっときた。
表情がまるで違ってこれはよいぞと期待が高まった。
そのあとのはずむところ、ゆっくりのところもピチピチと美しい。
そして終わりにかけて、ボリューム満点でやんちゃな自由さが全開でいい。

2楽章 今日はここを特に集中して聴きたいと思った。
泣きたくなるくらい、素敵でかわいらしいメロディーだから。
集中しすぎたせいか、あまり入り込めない。
ラインはとっても美しく文句のつけようはない。しかし、わりあいあっさりとした運びで、もう少し甘~い感じを期待しすぎたのだった。

3楽章 イングリッシュホルン、脳が洗われるような超極上な音色だ。
また、オーボエが間違いなく沿っているのだが、舞台をよくみてもどなたが吹いているのかわからないな、オーボエじゃないのかな。と思っていたら、カーテンコールの時にオーボエの方が出てこられて、初めて裏での演奏だったのかとわかった、確かにわかってみると距離がある音であった。
そして。ティンパニがなんと4台!! and 2台の大太鼓がバッチリ揃いすごい轟で迫力。ホールも心臓も震えた。
この章はほかの楽章より長めで場合によっては退屈に感じることがあるが、このしっとり感はもっと漬かっていたいと思った。

4楽章 ようやくベースの低音存在感が出ている。いいぞ。
大太鼓のキレがいい。
これがフランスの金管なのか。強くないのだが、柔らかすぎでもなくリラックスしながら鳴っている感じだ。
最高潮に盛り上がってきた。

5楽章 ここも楽しみにした。
高音のクラリネットのあばれぐあいがどのような感じかなと。

始まりはベースの低音とヴァイオリンのチャラチャラした音が融合して不気味感満載。
そして、出ました高音クラリネット。
あばれてくれました。すごい、はっちゃけで大変気に入りました。
そして、バソーン。こんなに主役的な音があるのかというくらい太くまろやかに響き渡ってきた。かっこいい。
普通クラリネットも大熱演。
パリ管は木管がスターな感じだ。

最後は各パートが全部違うのに完全に混ざり合ってボルテージ全開、やってくれたーーー、という〆であった。

アンコールもやってくれた。2曲。
1曲めは 翌日予定されているラヴェル:『クープランの墓』より「リゴードン」。
2曲目は ビゼー:歌劇『カルメン』より前奏曲。
どちらもみんな大好きノリノリの曲だ。

拍手がすごい。
8割がたがスタンディングオベーション、ブラボー声もサラウンドから止まない。
こんなサントリーホール初めてだ。

マケラはとにもかくにもリズム感が大天才。
リズム感と勢い、そして愛嬌で団員と観客をノセまくる男。
やって欲しい曲をやって欲しいようにやってくれる、一般大衆が喜ぶツボをブチっと押さえてくれるのが人気の秘密なのかなと思った。

パンフレットより

2025年6月19日 サントリーホール

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