N響 第1976回 定期公演 Bプログラムが行われた。
ラヴェル作曲 「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
ドビュッシー作曲 交響詩「海」
バルトーク ビオラ協奏曲を演奏したのはベルリンフィルのヴィオラ首席アミハイグロス。
楽器はガスパーロ・ダ・サロ
楽器がガスパーロ・ダ・サロという器でなんと1570年製。
ガスパーロ・ダ・サロはイタリアのサロという街に生まれたガスパロ・ベルトロッティという音楽家であり楽器職人の通称。
日本でいうと桶狭間の戦いの10年後、古い!
アミハイ・グロスのヴィオラ協奏曲
アミハイ・グロス
バルトークの曲はどうにもつかみどころがないと感じるが、そのぶん、楽器特有の音の可能性を追求していると思う。
桶狭間時代の木材が現在、どのような音がするのか。
アミハイ・グロスが奏でるヴィオラはしぶしぶに渋い。なのだけれど呼吸をするように自然に、多彩な響きを立体的に繰り出してくる。
低く低くいくところ、ヴァイオリンかのように高く鳴らすところと音色がこんなにあるのかと感じた。
また、つなぐところ切るところの一連がとてもスムーズで、運動神経よい身体全身を使って緩急をつけ盛り上げるので、聴く方の集中がきれる暇がない。
3楽章の速弾きからのフィナーレは熱くビンビンに跳ねてオーケストラもテンポアップで支えフィニッシュは爆発的。
オーケストラの弦は小さな息遣いで盛り立てながら細やかに連携していてソフィエフの丁寧な指揮ぶりが見てとれた。
グロスがひと呼吸あるところではヴィオラパートの方々へなつっこい笑顔を向けるもの素敵。
アンコール
N響のヴィオラ首席の方とのデュオ。
音色がまったく違う。
ガスパーロ・ダ・サロは特別なのだとは想像するが、やはり1本1本それぞれ違うのだろうことが再認識できた。
演奏に入る前「ササキさん」(?)とお名前を呼んでの紹介があり、普段縁の下の力持ち的ヴィオラ仲間へのオーケストラの1団員としての配慮が暖かかった。
(2023年1月26日 サントリーホール)