レ・ヴァン・フランセ 2025 東京オペラシティー

レヴァンフランセ 2025 東京オペラシティ に行ってきた。

■曲目は
ルーセル:ディヴェルティスマンop.6
シルヴェストリーニ:ピアノと管楽器のための六重奏曲(世界初演)
テュイレ:ピアノと管楽器のための六重奏曲 変ロ長調 op.6
カプレ:フルート、オーボエ、クラリネット、バソンとピアノのための五重奏曲 op.8
プーランク:ピアノと管楽器のための六重奏曲 op.100

■メンバーは
フルート:エマニュエル・パユ(写真左)
オーボエ:フランソワ・ルルー(右)
クラリネット:ポール・メイエ(右から2人め)
ホルン:ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(右から3人め)
バソン:ジルベール・オダン(左から2人め)
ピアノ:エリック・ル・サージュ(左から3人め)

また行ってしまった。

プーランク:ピアノと管楽器のための六重奏曲 op.100

最高でした。
オーボエ・ルルーさんの圧倒的な牽引力、ピアノ・ルサージュさんの盤石でダイナミックな”下地”。
ここにパユ様のフルートが柔らかく支え、鋭く切り裂く。
オダンさんのバソンは甘さを添え、ヴラトコヴィチさんのホルンは芳醇な奥行きを形作っている。

各楽器のソロ的なところでは存分に個性を披露しながら、合わせるところでは微細な指使いと息遣いで不思議に溶け合い「レ・ヴァン・フランセの音」になる。

強弱の表情、活き活きとしたテンポ、楽器間の受け渡しの妙、メリ・ハリが当然といった感じで一つになっているのだ。

これがフランスの風(レ・ヴァン)か。
素敵すぎる。

パユ様も調子を取り戻されてきているようで、よかった。

今回のプーランクはMy best の演奏だった。自分的記憶遺産にしたい。

ルーセル、テュイレ、カプレ

プーランクと合わせて、CD「管楽器とピアノ ~レ・ヴァン・フランセの真髄」収録曲。

「あのアルバムの方々がここで演奏されているのだ」と思うと、夢の世界にいるようだ。

ルーセル:ディヴェルティスマンはピアノがジャズっぽい鳴らしでかっこよかった。
テュイレ:ピアノと管楽器のための六重奏曲 変ロ長調はホルンがきれい。
ヴラトコヴィチさんのホルンは、きれいな音はもちろんおもちゃのラッパみたいな音、打楽器みたいな音など、いろいろな音色が満載だ。
ルルーさんとパユ様は右心房・左心房のごとく連動している。
パユ様は、つや消しの音、低く重しとなる音、キュンキュンと高い音などバラエティーに富んだあらゆる奏法でルルーさんのオーボエにさらに厚みを持たせている。
カプレ:フルート、オーボエ、クラリネット、バソンとピアノのための五重奏曲はそれぞれのソロの聴かせどころにたっぷり浸った。

時に元気に、時にトリッキーに、そしてうっとりと。
この方々の変幻自在はすごい。

シルヴェストリーニ:ピアノと管楽器のための六重奏曲

世界初演とのこと。
これを世界で一番初めに聴いているのだ、と心して臨んだが。
う~む。
難解であった。
楽器の特性を全面に出し、それぞれがバラバラな音、リズムで奏で、合わせるところでもハーモニーを聴くような感じではない曲なのかなと感じた。
個々の技とコンビネーションのショーウィンドウといった面ではおもしろかったが、素人としては、なかなか乗る感じではなかった。

“昔の作曲家で喜んでいないで、新しい人の曲も広めていくことも大事”ということはわかるのだが、もう少し一般人フレンドリーな作りにしていただけるとありがたい。

アンコールは「ハイドンの主題による変奏曲」から終曲。
別プログラムの演目からだ。
3月13日文京シビックホールでの主演目で聴いたが、終曲だけだったせいもあるのか今回はまた全然違ったイメージで盛り上がった。

※写真はJAPAN ARTSウェブサイトより

2025年3月17日 東京オペラシティ コンサートホール

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