エマニュエル・パユ with ルツェルン・フェスティバル室内管弦楽団 に行ってきた。
曲目は
ブゾーニ:フルートと管弦楽のためのディヴェルティメント Op.52
モーツァルト:フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」
ブゾーニ フルートと管弦楽のためのディヴェルティメント、モーツァルト フルート協奏曲第1番
フルート独奏はパユ様。
なんと”吹き振り”を見ることができた。
フルートと管弦楽のためのディヴェルティメント この曲はオーケストラがソロを支えるのではなく、お互い独立して存在して合わさっていく曲だと思う。
なので出だしはオーケストラをしっかり聴こうと思っていたが、ちょっとバラバラであった。
パユ様は勇壮に入って朗々と奏でているのあるが、弦が重い感じで、ピチカートもぼてぼてという感じ。木管が効いていない。
ルツェルンは指揮者をおかない編成での演奏。
パユ様は自分のパートでない時は、振り向いて、フルートを右手に持ちながらリズムやアクセントを各所に伝えていた。
吹き振りだ!
まずは最初、チューンナップなのかなと。
モーツァルト フルート協奏曲第1番
The モーツアルトの軽やかでかわいらしい曲であるが、パユ・モーツアルトはその枠を取り外す。
高音は澄みきって強く拡がり、弱音は超微音で美音。速いピロピロピロは無数のダイヤモンドがこぼれ落ちるよう。
1楽章のスケルツォは完全にソロコンサート状態。
1音1音が輝き踊り、精密に組み立てられた間、強弱、テンポに息をのんだ。
2楽章のミニ・カデンツァもたっぷりの演奏であった。
春になり生き物の生命力が抑えきれず噴き出すような、活き活きとしたドライブ感に満ちたモーツアルトであった。
ここも吹き振り。
振り向いて合図、フルートパートの時は前を向くので全身伸びたり落としたりなどでイメージを伝えている。
音楽というのはこうやって作っていくのかと。たいへんよい場面を見ることができた。
カーテンコールの時には、メンバーのフルート担当の女性お2人を讃えていて、ハートウォーミングであった。
アンコールをやってくれた。
ヴァレーズ:density(密度21.5)
メロディーが口ずさめるようなものでなくとっつき悪い曲なのだ。
2019年のソロコンサートSOLO vol.2でも演奏され、フルート技術の集積にとにかくびっくりぎょうてんしたのだが、今回は技術の集積を超えて曲の風景をも豊に描き出されているように聴いた。

CD「SOLO」の2枚目に収録されている。
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
オーケストラだけになり。
1楽章 なんといっても最初の「ジャン。ジャン」が聴きたいところ。
コンサートマスターのダニエル・ドッズさんが全身でタイミングを合わせ、決まった!
続くメインテーマ「ターラターラ、タラタラー」。何回も現われるこのテーマを何回も聴こうと思って今日来た。
弦が弾んだよい感じだ。
特に出だしからのチェロを聴きたかったが、柔らかく若々しいよい音でよかった。
演奏:ウィリアム・スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1963年4月29日~5月1日録音
フルートも音量たっぷりできれい。
2楽章
葬送行進曲。
ゆっくり。だけに、合わせが難しそう。
前方の弦と後方の木管グループの時間差があるのか? という感じ。
聴かせるところのパートとそれ以外がくっきりせず、フォルテの時は全員で自分フォルテになっていたり、ソロが急ぎ気味になったり、ちょっとバランスの調整が欲しいように思った。
オーボエは強く太い音色でどまん真ん中突き通し、全体締まる。
合うところはとてもよいハーモニーなのだが、そうでないところも散見されスリリング。
3楽章
いい。
速いテンポが向いているのか。
細かく速く刻む弦が軽やかでハーモニーよく響く。
オーボエとフルートがとてもよい音で華やかに絡んでいる。
“英雄”的ファンファーレがかっこよい。ホルンはアルプスの音だ!
4楽章
最高に盛り上がる章。
冒頭、景気よく、チェロがきれい。
行進曲風のところはそろって威勢よい。
最後のしつこいくらいの「ジャン ジャン」の終わりも決まった!
アンコールをやってくれた。
シベリウス:悲しきワルツ
これが最高(といっては失礼であるが)であった。
気づかないくらい小さなチェロから入り、小さく小さく弦が合流し徐々にハーモニーが膨らんでいく。
ルツェルン・フェスティバル室内管弦楽団という楽団なので、室内楽をもっと聴かなければと思った。

悲しきワルツ
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なんと。パユ様が本日もサイン会を開催されていた。
協奏曲の後にオーケストラが入るのでさすがにないだろうと思っていたが全終演後、設定されたのだ。
ここでも長蛇の列。
あれだけの演奏後しかも時間をおいて、リラックスしてなごやかに対応されている姿はどれだけの人を幸せにしてくれているのだろう。
※写真はチラシより
2026年3月22日 よこはまみなとみらいホール
