サンクト・ペテルブルク フィルハーモニー交響楽団 東京公演 2026|曲名、アンコール、感想

曲目

「春の祭典」 ストラヴィンスキー
交響曲第5番 チャイコフスキー

公演日時・会場

2026年10月21日、東京芸術劇場コンサートホール

ロシアからサンクト・ペテルブルク フィルがやってきた

サンクト・ペテルブルクはロシアのモスクワに次ぐ大都市。
そこからオーケストラがやってきた。
ロシアからミュージシャンが来日するのは何年振りか。
2022年2月のウクライナ侵攻以来、聴けていない。
サンクト・ペテルブルク フィルは歴史ある楽団だ。
創設が1882年。ロマノフ朝時代、ドフトエフスキーが亡くなったのが1881年。日本とは1875年に樺太・千島交換条約が交わされていた。
前身は1772年発足のペテルブルク音楽協会。

その後、政治体制の変化とともにその名も変えていく。
1882年 楽団創設
◎1917年 ロシア革命(レーニンが指導者)
↓
1920年 ペトログラード国立フィルハーモニー交響楽団

◎1924年 ペトログラードがレーニンにちなみレニングラードに改称
↓
同年 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団に改称

◎1991年 ソ連崩壊。レニングラードがサンクト・ペテルブルクに戻る。
↓
同年 サンクト・ペテルブルク フィルハーモニー交響楽団に改称。現在に至る。

レニングラード交響楽団といえば、レジェンド指揮者ムラヴィンスキーが有名で、ソ連(当時)を代表するオーケストラ。
来日は2018年以来8年ぶりとのこと。

今回の指揮者は、ニコライ・アレクセーエフ
2022年から首席指揮者を務めている。

ストラヴィンスキー 「春の祭典」

出だしはファゴット。「自分のタイミングでどうぞ」で始まった。
“ねっとり”よりも”あっさり”系の澄んだよい音。

金管にまずつかまれた。この曲、このオーケストラを支配するといっても過言ではない超絶した存在感。
盛り上がりの部分でのビンビンと空気を切り裂くトランペット、破裂するホルン。
『春の祭典』は長老が若い娘を春の神に捧げる祭を描く、えげつないテーマの曲である。
そのえげつなさ・不穏感・嫌悪感・恐怖・残酷性を音にしたらこうなのであろう、鋭利で深く強烈な響きが不気味さを増し増しにしてきた。

フルート、ピッコロも狂気的響き。

これら管系の音色はロシア独特だと思った。

ヴァイオリンは意外と優しめ。
最初に盛り上がる「春のきざし 乙女たちの踊り」の「ザンザンザンザン」のところは、ヴァイオリンはじめ弦軍団のインパクトを楽しみにしたが、そこまで強調していなかった。

舞台いっぱいの人数から分厚いハーモニーが不安定な速いリズムで繰り出されるのは、重戦車がガタガタ道を突進してくるような迫力だ。

そして。
Part1最後の「大地の踊り」のすごいことすごいこと。
大太鼓をかわきりに、ティンパニが地獄のように低くキレよくとどろき、銅鑼がすべてを破壊せんばかりの波動でホールを襲ってきた。
トランペットは超速タンギング。
コントラバス奏者は体を揺らしながら弓をグィングィンと弾いている。

不協和音爆裂で「ぎゃーー やめて~ でもやめないで~」の連続。

終演後のメンバーは嵐の海から帰還した荒くれ漁師たちに見えた。

チャイコフスキー 交響曲第5番

出だしのクラリネットがいい。
たっぷりと響いてきた。
クラリネットは全編とおして要所要所で貫いた音が光っていた。

今度は弦が主役だ。
優しい鳴りがとってもきれい。
この曲は聴きどころだらけ、うっとりしどころだらけだ。

指揮のアレクセーエフさんは激しく振るタイプではなく、スマートにタクトで微妙に速度、強弱を伝えている。
甘~いところはちょっとテンポを速め、甘くなりすぎずそれがエレガント。

この曲は盛り上がりどころだらけでもある。
弦の溶け合いが美しい。
あれだけ尖っていたホルンもここではソフティーに変身。
コントラバスとチェロが下支えでなく弦全体が同列に奏でられ、スケール感満載で響いてきた。
ここぞ、のフォルテのところは「よし行くぞ!」と仕掛け的に盛り上げるのではなく、成り行きでフォルテしてくる感じなので、こちらもいつのまにか大波に飲まれている。
曲の作法的なものが体に染みついているのであろう何気なさだ。

これがロシアのチャイコフスキー。
王者のチャイコフスキーを聴いたというより体験した感じであった。

アンコール

エルガー:『愛の挨拶』

えもいわれぬ美しさであった。

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2026年10月21日現在、北海道新聞社記者の拘束問題がある。
音楽は別と割り切ってはいたが、胸にちらついていたのが残念なことであった。
プーチン、早く記者を日本に返して。ロシアの音楽家にはもっと来日してほしい。

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